新番組『やべスタ』を立ち上げたDAZNサイドの思惑と心意気
“ファンズファースト”というフィロソフィー
新番組の立ち上げを祝って、DAZNから矢部さんに背番号10の番組オリジナルユニホームがプレゼントされた 【写真:斎藤優/DAZN】
私たちは常に新しいコンテンツの可能性を探しています。シーズン中はもちろん、試合がない間もDAZNでサッカーコンテンツを楽しんでいただきたい。それに普段Jリーグしか観ていないファンに海外サッカーの楽しさも知ってほしいし、その逆もしかり。それを達成するためにどんなコンテンツを配信するべきだろうか、という議論は社内で常にあり、今回はその狙いと矢部さんの思いが合致した番組となりました。今回は全社を挙げて、非常にスピード感を持って進めることができたと思っています。
――硬派なサッカーコンテンツが多いなかで、お笑い要素のある異色のコンテンツになりそうですね。
先ほども述べたように、日本というマーケットにおいては少しバラエティー要素が入った番組がファンから愛されるということを私自身も学びました。DAZNのフィロソフィーとして“ファンズファースト”という考え方があって、サブスクリプションサービスという特殊なビジネス形態もある中で、私たちは常にユーザーの皆さまの反応を見ています。発表を受けて新番組を楽しみにしていただいている方々の声も多く拝見していますので、私たち自身もこの番組にとても期待しています。
――レギュラー番組の生配信は初の試みとのことですが、決断した背景は?
エンターテインメント界の中でも、スポーツは生物で、特に鮮度が大切なコンテンツです。スポーツファンであればその結果をいち早く知りたいし、付随する情報も常にアップデートしたいはずです。各試合の速報をまとめたニュース番組を制作することは以前から構想に入っていましたが、技術的なハードルも高く実施に至っておりませんでした。しかし、あらためてその重要性にチャレンジしたいと考え、そして何より矢部さんとも番組制作の目的として同じビジョンを持つことができていたので、トライしてみようということになりました。
――矢部さんとはどんな話をして、どんな未来を共有されたのでしょうか?
少ししかお話できなかったのですが、本当にフットボールを愛していらっしゃる方で、これまで彼が築いてきた企画はもちろんのこと、DAZNだからこそできる企画を新しく作っていこうと話しました。矢部さんご自身も素晴らしいフットボーラーなので、近い将来、『やべっちスタジアム』チームvs. DAZNチームでプレーしましょう、という話もしました(笑)。
内田篤人の番組とのコラボも!?
コアファン以外も楽しめる番組として、『やべっちスタジアム』はうってつけのコンテンツになりそうだ 【写真:斎藤優/DAZN】
DAZNとしての目的のひとつが、ファン層を広げるためのオリジナルコンテンツ作成にあるので、コアファン以外も楽しめるコーナーをたくさん届けていきたいです。DAZNの強みとして、国内外のサッカーがひとつのプラットフォームで観られるという点があります。Jリーグファンが海外サッカーを、海外サッカーファンがJリーグを観るきっかけになれるよう、海外で活躍する選手にフォーカスした企画や国内の情報以外も扱っていきたいと考えています。また、先日開始した内田篤人さんの『Football Time』などDAZNの他番組とコラボをすることでも、さらに新しい形のフットボールエンターテインメントを提供していきたいと思っています。
――どんな番組に育っていってほしいですか?
我々が掲げる“ファンズファースト”とともに、矢部さんがおっしゃっている“選手ファースト”を大切にしながら、皆さんから愛される番組に育てていきたいですね。皆さんにもぜひ番組をご覧になっていただき、さらにJリーグ、そしてサッカーを好きになっていただけたら何よりです。
――あらためてDAZNとしての、日本サッカーへの思いを聞かせてください。
今年、DAZNとJリーグは契約をさらに2年延長し、ともに日本のサッカー界、スポーツ界を盛り上げて、そして次世代のファンの育成を目指していくことを再確認しました。欧州に比べて、非常に短い期間でこれまで成長したリーグは他になく、これからも発展していけるポテンシャルがあると信じています。2020年という苦しい年の中で、私たちはあらためてライブスポーツが持つ力、ポジティブなエネルギーを再確認しました。それを忘れずに、単なる一配信メディアとしてだけではなく、多方面で皆さんと一緒になってスポーツ業界を活性化していきたいと思っています。
DAZN Japan エグゼクティブ・バイス・プレジデント。20年以上スポーツメディアに関わり、2015年にPerform GroupのデジタルエージェンシーであるGoal Studiosの設立に携わった。17年にはDAZN Japanのリーダーシップ部門に加わるため東京に拠点を移し、DAZN Japanの責任者として、現在日本における活動のすべてを統括する。