まるでサッカー界の“桜木花道“!? 強烈な個性を放つ、神戸・菊池流帆
ルーキーイヤーの奮闘、J1移籍へ
劇的ゴールも経てレギュラーの座を確保したかに見えたが、第11節・金沢戦では思わぬミスから先制点を献上。その後、数試合の間スタメンを外れることもあり、プロとしての挫折も味わった。
もともと超人級だったフィジカルは、試合に慣れるとともにますます強みとして機能。J2の屈強な外国籍選手にも引けを取らず、生半可なパワーのFWではまるで起点になれない。スピードも目を見張るものがあり、裏を取られながら自力で追いついてしまう場面が何度もあった。その分、ポジショニングはやや不安定な面もあったが。
最終的には全42試合中35試合に出場。3得点を挙げたが、そのうちの2つが決勝点と勝負強さも見せた。最終節終了後の囲み取材では、「メンタル面の成長が大きい。余裕をもってプレーできるようになったことが一番の成長」と語り、1年目からこんなに試合に出ることをイメージしてプロに入ってきたか? の質問には「もちろんです」と迷いなく答え、チームが15位に終わったこともあり「もっと目に見える結果が欲しかった」と悔いた。
しかしその活躍は評価され、ヴィッセル神戸からのオファーを受けて完全移籍。わずか1年でJ1への個人昇格を果たした。J1クラブへの移籍のあいさつが「日本代表になってきます!」と、どこまでも上昇志向。
“新しい姿”に感じる菊池の伸びしろ
久しぶりの出場となった第12節・浦和レッズ戦。筆者も久しぶりに現地で彼のプレーを見ることができたが、そこには面影を残しながらも、新しい菊池流帆の姿があった。
気持ちと当たりの強さ、咆哮(ほうこう)、どこかのぞくぎこちなさはそのまま。サイドチェンジを狙って引っかかるなどパスミスもあった。しかしビルドアップの際、体の向きを工夫しながらボールを持ち運ぶ姿に、神戸での成長が垣間見えた。
山口時代もスペースへ持ち上がるシーンはあったが、詰まってしまいボールをロスト、ファウルして戻ってくるという場面が多かった。ただこの日は違った。
守備でもむやみに飛び込むようなことはなく、存分に肉体を生かし、絶体絶命のピンチにもゴール前まで戻ってカバー。『#DAZN週間スーパーセーブ』にも選出された。
大学卒業時にオファーのなかった選手から、1年でJ1リーガーに。そしてその先へ。これほどの成長を見せながらも、まだまだ伸びしろをたっぷりと残しているようにも見え、代表も海外も夢ではないように思わせるスケール感。今後も菊池流帆から目が離せない。