まるでサッカー界の“桜木花道“!? 強烈な個性を放つ、神戸・菊池流帆

エルゴラッソ

J1ヴィッセル神戸に移籍した大卒2年目のDF菊池流帆が注目を浴びつつある。彼のこれまでのプレー、経歴を振り返っていく 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

「どりゃあーーーー!」と雄たけびを上げながらヘディングをする。しかもどちらかというと競る瞬間ではなく、さながら投てき競技の選手のごとく、ヘディングした直後にほえている。

 空中戦以外でも、相手のチャンスをつぶすたびに雄たけびをあげ、そこまでじゃないプレーでも雄たけびを上げる男。
 そして逆にほえないことを突っ込まれてしまう選手。

 それが菊池流帆である。
 菊池流帆、1996年生まれ。岩手県釜石市出身。今季・J1ヴィッセル神戸に移籍した大卒2年目のディフェンダーが注目を浴びつつある。いったいどのような人物だろうか。

 彼の前半生、プロに入るまでについては、部外者がどうこう言うよりも自身の思いを読んでもらうのが一番だろう。彼の生い立ちから、東日本大震災での被災経験、サッカーへの情熱と苦労がつづられている。

J2山口でのプロデビュー、そして初ゴール…

 菊池流帆のプロキャリアは、J2からスタートした。大阪体育大学では何度も大学選抜に選出され、2017年夏季ユニバーシアードでは日本代表として優勝メンバーの一員となりながらも、負傷の影響もあってなかなか進路が決まらず。レノファ山口への2度の練習参加を経て、ようやくプロサッカー選手となる。

 最初にプロサッカー選手・菊池流帆としてのお披露目となったのが、2019年2月11日のプレシーズンマッチ・サンフレッチェ広島戦。スタメン出場を果たした菊池は、広島FWパトリックと激しい肉弾戦を繰り広げる。タッチライン際、スライディングでパトリックを止めた際には激しくほえ、これがプロとして最初の雄たけびだったかもしれない。

 プロレスラーと見まがう188cmの巨体で、J1で前年に20得点を挙げた外国籍FWと堂々渡り合う姿は非常に頼もしく、とてつもないポテンシャルを感じさせた。一方で足元の技術やビルドアップの判断には不安しかなく、隣のセンターバックへのパスですらハラハラさせるデンジャラスぶり。とんでもない新人が現れたと思った。

 そのあたりも含めてまだ不安があったのか、開幕からベンチ入りを果たすも出番なし。ただこの年のレノファは開幕から振るわず、第5節には新人DFにもスタメンのチャンスが回ってきた。しかしそこから4戦未勝利。開幕から第8節まで苦しい状態が続いていたが、一躍名を上げる瞬間がやってくる。
 霜田監督も「なんで彼があそこにいたかはわかりませんが」と語った劇的ゴール。スタジアムに居合わせた人の多くも「なぜ菊池がそこにいるんだあ!?」と驚嘆したが、この瞬間から、彼のことが漫画「スラムダンク」の主人公・桜木花道のサッカー版としか思えなくなってしまった。

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著者プロフィール

サッカー新聞エル・ゴラッソ。通称エルゴラ。国内外の最新サッカーニュースを日本代表の番記者、J1・J2全40クラブの番記者、海外在住記者が、独自の現地取材をもとに、いち早くお届けします。

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