連載:ドラフト最前線! 敏腕スカウトによる高校球児の評価

甲子園中止、活動自粛、ステイホーム…… プロ野球スカウトの苦悩と打開策とは?

瀬川ふみ子
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今年の高校3年生は「特別な代」として語り継がれるだろう……苦難を乗り越えた高校球児たちをプロのスカウトはどう評価するか 【写真は共同】

 プロを目指す高校球児たちは、前代未聞のシーズンを過ごしている。苦境に直面しながらも、上の世界を見据えて自己鍛錬に励んでいる。そんな高校生ドラフト候補を、今まで何人もの“ダイヤの原石”を発掘したプロのスカウトはどのように評価しているのか。敏腕として鳴らす、広島東洋カープのスカウト統括部長・苑田聡彦氏と、中日ドラゴンズのアマスカウトチーフ・米村明氏がたっぷりと語ってくれた。
 
 第1回は選手評価の前に、コロナ禍でのプロのスカウトの動きをレポート。例年とは異なる状況でも、チームの補強ポイントを見定め、的確なドラフト戦略を練ることには変わらない。熟練のスカウティング活動について、苑田、米村両スカウトの生の声をお届けする。

苑田「引退後の練習を見に行って最終判断…誠也もそうだった」

全国的に無名に近い高校球児だった鈴木誠也を発掘した苑田スカウト。今年も、気になる高校生がいたら引退後の練習も追いかけるという 【瀬川ふみ子】

――例年、高校生を見るため奔走している4月や5月は、今年はコロナの影響でステイホーム期間に。自粛期間中はどんなふうに過ごしていたのですか?

 高校生は甲子園に出ないチームは7月で終わってしまうので、その時期、急ぎ足であちこち見に行かなければいけないのですが、今年は3月下旬から6月初旬までは何もできませんでしたね。ずっと家にいて、ウォーキングもできず、運動不足で足腰がおかしくなりました。担当を持っているスカウトは、リストに挙がっている選手が高校の中で練習しているところを探してビデオを撮りに行ったりしていましたが、ステイホーム期間はどこもやっていないから、ほぼ自宅待機。昨秋見た選手が、ひと冬越えて、どれくらい伸びているかをその時期に見るのが楽しみなんですが、それができなかった今年はとても残念です。

――各校の練習が始まってからは、今度は大忙しになったかと。

 6、7月しかないから、1日2人見ないと間に合わない状況でしたけど、候補同士が対戦するオープン戦でもしてくれない限りは1日1人しか見られない……。見に行った感想とすると、今年はやはり練習不足というのもあって、成長がいまひとつという気もしました。

――代替大会や甲子園交流試合はいかがでしたか?
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