偉大なキャリアに幕を下ろしたコンパニ 監督として歩む、新たな挑戦
現地時間8月17日に引退を発表したコンパニ。偉大な選手の決断に多くの反響が寄せられた 【Getty Images】
選手としての輝かしいキャリア
その後ドイツのハンブルガーSVで3シーズンを過ごしたのち、08年に約600万ポンドの移籍金でマンチェスター・シティへと加入する。当時のシティは今とは異なり、リーグの中位を争うクラブであったが、コンパニの加入直後に現在もオーナー権を持つUAEの投資会社アブダビ・ユナイテッド・グループがクラブを買収。その潤沢な資金でスター選手を獲得し始め、正にクラブが変革を迎えようとしている時期にコンパニは加わったと言える。
コンパニは、そのシティでも移籍初年度からレギュラーとして活躍。その後の2010-11シーズンにはプレミアで37試合に出場し、守備陣のリーダーとしてリーグ最少失点タイの記録を残してクラブは3位の好順位を収め、クラブ史上初のCL出場権獲得に大きく貢献した。
そして、コンパニが象徴的な活躍を見せたのが、あの奇跡の大逆転優勝を遂げた翌2011-12シーズンだ。主将に任命されたコンパニは、シーズンを通してチームを後方から支え続け、リーグ戦31試合に出場。シティを44年ぶりのプレミア制覇へと導き、DFでありながらプレミアリーグの年間MVPに選出される大活躍を見せた。
以降はケガに悩まされながらも、主将としてピッチ内外でクラブを支え、最終的にシティで11年間プレーし、公式戦360試合もの出場を果たした。そして4度のプレミア制覇、2度のFAカップ、4度のEFLカップ優勝と数々の輝かしい功績を置き土産に、偉大な主将は昨夏古巣のアンデルレヒトへ選手兼任監督として復帰することとなった。
コンパニはCBとしての実力は言わずもがな、それに加えて多彩な言語を操る高いコミュニケーション能力、主将としての優れたリーダーシップも兼ね備える極めて稀有(けう)な選手であった。その存在感の大きさ故に、不在時にはチームの守備が崩壊してしまうほど、チームへの影響力は大きかった。昨季シティが守備で苦しんだのは、クラブを去った偉大なキャプテンの穴を埋めきれなかったことも一つの要因だと言えるだろう。