連載:プロ野球 今シーズンに懸ける男たち

自分のことよりもチームと家族のために… 西武・内海の覚悟「やらないとおしまい」

前田恵
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「元の自分に戻るために」ブルペンで1球1球確かめるように投球する内海哲也 【(C)SEIBU Lions】

 昨季、巨人から埼玉西武に移籍し活躍を期待されたが、一軍登板ゼロに終わった内海哲也。古傷の左前腕の痛みに苦しみ、昨年10月に手術を決断。復活への手ごたえをつかみつつあった春先に新型コロナウイルスの影響で、思い描いていた一軍登板へのプランに狂いが生じた。「今年やらなければおしまい」と覚悟を決めて今季に臨む内海に、プロ野球開幕前に話を聞いた。

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昨季のもどかしさは二度と味わいたくない

――昨季、巨人から埼玉西武に移籍してきて、チームからどんな役割を期待されていると感じていましたか?

 チームに貢献するという意味でも、一軍で10勝近く勝って結果を残すこと。それが僕自身、一番の目標でした。また、ライオンズには若くて生きのいいピッチャーが多い。僕は10何年やってきた経験もあるので、それを若手に伝えて、少しでも彼らの成長の役に立てれば、ということが第二の目標。球団からも、「若手の見本になってほしい」と言っていただきましたし、僕自身もライオンズに来たからには、そういったところも残したいと思っていました。今も、それは変わりません。

――昨年10月に左前腕・筋腱(けん)修復手術を受けましたが、この手術に踏み切った経緯を教えてください。

 巨人時代の2005年に一度、同じ部分を痛めていたんです。要は肉離れを起こしていたんですが、復帰を焦るあまりピッチング、試合登板、と前倒し、前倒しでやっていって、また痛めてしまいました。チームドクターと相談して、もう自然治癒力に期待して保存しても、完璧に治ることはない。また同じような痛みが出る可能性があると説明され、手術を決断しました。

――手術に対して、怖さはありましたか?

 怖さはありましたが、それよりも「この痛みが来年も続くかもしれない」と言われた時点で、(手術の覚悟を)決めていましたので。昨年、左前腕がかなり痛かったんですよ。前腕以外は元気なのに、投げられないわけです。そのもどかしさを1年間ずっと味わって、「もうあの思いはしたくない」という気持ちが一番でした。
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著者プロフィール

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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