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異例のシーズンを戦う難しさとは?
“中畑清監督”流、今季の乗り切り方
前例のないイレギュラーなシーズンをいかに戦うか。中畑清氏に自身の監督経験を踏まえて語ってもらった。
前例のないイレギュラーなシーズンをいかに戦うか。中畑清氏に自身の監督経験を踏まえて語ってもらった。【写真提供:ドリーム24】

 6月19日にようやく2020シーズンのプロ野球が開幕する。待ちに待った開幕直前のタイミングで、「絶好調!」でおなじみの中畑清さんに今シーズンのプロ野球について思うままに語り尽くしてもらいました。第1弾はアフターコロナの状況で開幕を戦う難しさについて、ご自身の監督経験を踏まえて語っていただきました。

同一カード6連戦は気持ち的に相当しんどい

――6月19日開幕、公式戦120試合。今季を戦う難しさはどんなところに感じられますか?

 

 まず120試合という試合数を消化する方法ですよ。特に今回、パ・リーグは同一カードで6連戦を組んでいるでしょう。例年、火曜から日曜まで、3連戦、3連戦で6連戦という日程が組まれてきた。セ・リーグに限っては、今年もそうですね。これ、3連戦で相手のユニフォームが変わると、目先も変わるんですよ。すると、意外と6連戦も苦にならないものです。


――間に移動が挟まっても、そこまで苦ではないということ。


 そうそう。いったん、緊張感がほぐれるでしょう。選手にとっては、それがすごく大きいんですよ。ところが同一カードで、しかも同じ場所での6連戦。これは一番しんどいなと思うスケジュールですね。まあ、いずれにしてもセパともに、6連戦が続くのは同じだから、どの球団も先発ピッチャーを6人用意しなければいけない。だから投手力のいいチームが、どうみても有利になりますね。もちろん、野球はもともと投手力、守備力が最優先のスポーツですよ。それが6連戦というスケジュールの中では、余計際立つでしょうね。


――どこまでこの形が続くのか、ということもありますね。


 戦い方は難しいし、故障者が出やすい状況ですよね。それをどう乗り切っていくか。1年間故障者ナシなんて、通常のシーズンでもあり得ないのに6連戦、6連戦が続くんだから。それも1点差ゲームになれば、中継ぎ、抑えの投手陣をどんどんつぎ込んでいく野球が要求される。早め、早めに代えていくというね。

「中畑監督」ならこうやって今季を乗り切る

――「開幕ダッシュ」とはよく言いますが、今季はどうでしょう?


 そう言うけどねえ。言葉だけで、なかなか難しいと思いますよ。まず公式戦の本番に入りにくい状況でしょ。例年なら24、25試合あるオープン戦が、半分の12試合しかない(※編注:6月の12試合は練習試合扱い)。先発ピッチャーは本番を迎える前に、最低でも5イニングは投げ切れる肩が出来上がっていないといけないわけですよ。実戦で投げる肩と、練習で投げる肩は、まったく違うから。いかにその12試合の中で、投手陣にどれだけ実戦を積ませて本番に入れるか、ということですね。監督、コーチは苦労していると思いますよ。


――そこは首脳陣の腕の見せどころですね。


 12試合じゃあ、どうしたって足りないんですよ。だから私が監督なら、野手はレギュラークラスの選手に全打席与えて、準備させます。若手のテストケースは、ほとんどないに等しいと思う。

2012年から4年間、DeNAで監督を務めた中畑氏。開幕までの準備期間の短い今季は投手陣の調整が難しいという
2012年から4年間、DeNAで監督を務めた中畑氏。開幕までの準備期間の短い今季は投手陣の調整が難しいという【写真は共同】

――すると巨人や福岡ソフトバンクのように、レギュラーがしっかり固まっているチームのほうが有利でしょうか。


「選手層が厚いチーム」といったほうがいいでしょうね。120試合も、決して短期じゃないんですよ。やはりシーズンは長い。しかも連戦が続くから、ベテランの多いチームはどう選手を代えていくかだよね。ベテランを休ませるタイミングで、誰を使うか。そこでうまく使える若手がどのくらいいるか、選手層の厚さがものすごく大事になってくる。今季はキャンプ後の実戦感覚が足りないから、本来だったら一軍に帯同させたい若手も、まずは一軍と二軍を行ったり来たりさせて、実戦を積ませることになるんじゃないかな。


――一軍ベンチの雰囲気より実戦感覚、ということですね。


 若手は二軍でどんどん試合に出してね。一軍はレギュラーとベテランで先発オーダーを固めて、行けるところまで突っ走る。どこまで行けるか分からないけれども、やがて必ず1人か2人、欠けるときが来るんです。そのとき、それに代わる選手は一時しのぎの代役でなく、レギュラー以上の力を付けていることが必要なんですよ。この準備が監督の大事な役割。そういう選手の力を見抜くだけの器量がないとダメだし、「コイツと心中する」くらいの覚悟を持って試合に送り込める選手を2、3人作ることが今季は特に要求されると思いますよ。


――投高打低か打高投低か、傾向は出ますか?


 だいたいバッターもピッチャーも春先は弱いけどね(笑)。でも普段なら春先はやはり、投高打低でしょう。春先はピッチャーのほうが仕上がりがよく、バッターはそのスピード、変化についていきにくい。バッターのほうが慣れるのに1カ月ぐらいかかります。その代わり、今度はピッチャーが疲れてくる夏場にバッターが調子を上げてきてね、打高投低に逆転するという流れがある。まあ、私もどちらかというと夏場に強いタイプだったね(笑)。

前田恵

1963年、兵庫県神戸市生まれ。上智大学在学中の85、86年、川崎球場でグラウンドガールを務める。卒業後、ベースボール・マガジン社で野球誌編集記者。91年シーズン限りで退社し、フリーライターに。野球、サッカーなど各種スポーツのほか、旅行、教育、犬関係も執筆。著書に『母たちのプロ野球』(中央公論新社)、『野球酒場』(ベースボール・マガジン社)ほか。編集協力に野村克也著『野村克也からの手紙』(ベースボール・マガジン社)ほか。豪州プロ野球リーグABLの取材歴は20年を超え、昨季よりABL公認でABL Japan公式サイト(http://abl-japan.com)を運営中。

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