連載:怯まず前へ 常に結果を出し続けるチームと強い心の作り方

設楽兄弟を支えた選手の存在がチーム力を左右した

酒井俊幸
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第6回

2013年度、酒井監督は設楽啓太(写真左)をキャプテン、双子の弟・悠太を副キャプテンに任命。同学年が設楽兄弟を支えチームはまとまっていった 【写真は共同】

 駅伝は出場選手だけではなく、控えの部員を加えた総力戦です。

 2013年の第89回箱根駅伝で日本体育大に敗れて2位となり、翌日の1月4日に設楽啓太をキャプテン、設楽悠太を副キャプテンと、双子の兄弟を新しいチームリーダーに指名しました。
 これは私の一瞬のひらめきで即決したこと。コーチ陣に話したところ、初めはとても驚いていましたが、すぐに賛成してくれました。チームとして、負けた後には何かを変えなくてはならないという考えは、私もコーチ陣も共通していました。

 本人たちの内諾を得ようとすると断られそうなので、朝練習のときにテレビ取材のカメラが入っている前で伝えました。早朝だったせいか、2人ともボーっとしていましたが、すでに決定事項だと言い聞かせました。

 2人はもともと、人の上に立つような性格ではありませんでしたが、役が人を作るもの。いろいろな経験をして、感性を磨いていきました。

 また、2学年上の柏原竜二の姿を見てきたことで、走力だけではなく日常生活での立ち居振る舞いや言葉に責任を持つこと、チーム内で存在感を示すことなど、みんなに認めてもらえるようになろうと変わっていきました。

 設楽兄弟をキャプテン、副キャプテンにすると選手たちに伝えたとき、みな走力的には納得するも、キャラを考えると驚いた様子でした。
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著者プロフィール

1976年福島県生まれ。学校法人石川高等学校卒業後、東洋大学に入学。大学時代には、1年時から箱根駅伝に3回出場。大学卒業後、コニカ(現・コニカミノルタ)に入社。全日本実業団駅伝3連覇のメンバーとして貢献。選手引退後は、母校である学校法人石川高等学校で教鞭をとりながら、同校の陸上部顧問を務めた。2009年より東洋大学陸上競技部長距離部門の監督(現職)に就任。就任1年目でチームを優勝に導くという快挙を達成、箱根駅伝では、優勝3回、準優勝5回、3位2回という成績を達成。

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