Bリーグ中止決定までの舞台裏 再びバスケを見るために今こそ結束を
CS開催はギリギリまで可能性を探っていた
Bリーグは経営者と外国籍選手、選手会との話し合いを重ねた。3月23日には新型コロナ問題が発生してから4度目となる実行委員会が開催されている。チェアマンを中心にまず状況の共有が行われ、クラブ側がそれぞれの意見を表明した。
その時点で、小池百合子東京都知事による外出自粛要請はまだ出ていなかったが、K-1の開催が大きな波紋を呼び、批判も受けていた。プロ野球、Jリーグも直前に4月の後半までは開催を行わない方向性を打ち出していた。
実行委員会ではレギュラーシーズンの打ち切りについてほとんど異論が出ず、実質的に決定の意向だった。一方でB1のチャンピオンシップに絡む上位クラブは外国籍選手の帰国もなく、公平性を維持して試合が「やれる」体制にあった。
実行委員会では「終わり方」の重要性を説く経営者もいた。選手や観客の安全は大前提だが、最後にBリーグをしっかり印象づける機会を用意することが、来季以降につながるという主張だ。大河チェアマンもポストシーズン、特にB1チャンピオンシップの開催についてはぎりぎりまで可能性を探り、クラブ側の反応を確かめていた。
クラブ側の要望として強かったのは「早期の結論」だ。20-21シーズンの開催は9月もしくは10月となる予定だが、早くシーズンが終わればスポンサーへのアプローチにすぐ移ることができる。スモールクラブを中心に次へ切り替えたい、来季以降の準備をしたいという発想を持つ経営者が多かった。
逆風に負けず、来季への準備期間に
インタビューの際に(3月17日に実施)、1月末から感染拡大のリスクを感じていたと語った大河チェアマン。「早期の結論」を出し、来シーズンへ歩み始めた 【スポーツナビ】
同日には選手会とのミーティングも再び行われた。実行委員会と同様に外国籍選手の帰国による影響を懸念する声が出た一方で、B2所属でしかもプレータイムの少ない選手の不安感も大河チェアマンに伝えられていた。次の契約を見つけられるか危うい、立場の弱い選手には「コートに立ってアピールしたい」という切迫感がある。経営者、外国籍選手、日本人の有力選手とは違うリスクを彼らは感じている。
とはいえプレーヤーの総意、社会の安定はポストシーズンを開催する上で欠かせない前提だ。クラブ側、外国籍選手から早期の「答え」も求められていた。社会情勢も26日に出された小池都知事による外出自粛要請、感染ルートが分からない感染者の増加と、ネガティブに振れていた。
16年秋に開幕したBリーグにとって、今が創設以来の危機に違いない。しかしこれでバスケットを愛する人が減るわけではないし、再びアリーナでファンの笑顔が見られる日は必ず来る。リーグと経営者、選手が結束し、全クラブで厳しい環境を乗り越え、再出発をともに迎える――。それこそが今のわれわれが後押しするべき「戦い」だ。