IDでもっと便利に新規取得

ログイン

Bリーグ・再開や試合中止の裏にあった思い
大河チェアマンが語る「挑戦と葛藤」

試合を無料配信したことは「よかった」との声が多かった

17日に行われた会見では、リーグ戦は中止でなく中断だと強調し、ポストシーズンも行う意向だと語った
17日に行われた会見では、リーグ戦は中止でなく中断だと強調し、ポストシーズンも行う意向だと語った【スポーツナビ】

――“B.LEAGUE EVERYWHERE”で試合中継の無料配信を行う試みがありました。反応はいかがでしたか?


 ソフトバンクさん、DAZNさん、スカパーさんに無料開放をしていたので、いつもの数倍の視聴者がいました。無観客でも再開してよかったという声が多かったことは確かです。特にパートナーの方は「よかった」と感じてくださっているようです。


 ソフトバンクさんが無料開放をして、サポートしてくださったことは非常にありがたかった。NHKさんがそれを認めたことにも同じように感謝しています。NHKさんにとっては中継が開放されないほうが放送を見てくれる人が増える事情は当然あるわけですけれど「こういう時期だから」と放送と配信事業者の双方からサポートしていただいた。感謝を申し上げたいと思います。そして、われわれはどうにかBリーグをシーズン終了まで出来ないか奮闘することは、リーグ・クラブ問わず支えてくださるスポンサーにむけてあるべきだと思っています。


――クラブ側もいろいろな工夫、取り組みを見せていました。


 普段は放送に映らない側にあるスポンサー看板を、空いている席のスペースを生かして映る側に並べる工夫をしたクラブがありました。本来はリーグスポンサーの看板位置、クラブスポンサーの位置と場所が決まっているんです。それを僕らの方でソフトバンクさん、広告代理店さんと交渉をして、特別に認めていただけて、置くことができました。クラブとしては露出を継続、拡大できた。それもよかったと思います。

――実行委員会、理事会などで気づきにつながる意見は出ましたか?


 立場論をいえばまとまらない中で、クラブはリーグ全体のことを考えた意見を言ってくれた。その中でも、3月10日の理事会では、無観客で実施する前提でさまざまな議論をしていた中で「そもそもできなくなってしまう想定をしておくべき」という冷静な意見がありました。各クラブの経営者が参加する実行委員会はどうしてもポストシーズンをどうするかに議論が集中します。こういう仕組みだと得だ、損だというのがある。それは仕方のないことです。


 ポストシーズンをどうするかより、無観客でさえできなくなったときのことを議論しないといけない。理事会でそう言われたとき「そうだよね」と強く思いました。実行委員会に比べて、一歩引いて見てもらうのが理事会です。コンフリクト(衝突)の起こる事項について理事会が決断する意味はまさにそこです。


 今回は結果的に朝令暮改となってしまいました。ただ理事の方から「こういうときは朝令暮改を全く気にする必要がない」「時間がないときは理事会に諮らず決めることもあり得る」というアドバイスもいただきました。


――ポストシーズンも開催できない最悪の状況を想定しなければいけないと思います。優勝はもちろんですが、昇降格をどうするかは極めて重大な問題です。


 60試合が終わらないチームが出てきたときに、勝率で順位を決める部分は、議論として済んでいます。ただポストシーズンが無くなったときどうするかの議論はこれからです。それぞれの立場があって、議論はもめるでしょうが、決めなければいけません。みんなが満足する決め方が取れないだろうな…という懸念は強いですができるだけ公平に進められるよう検討したいと思っています。

平熱+1度くらいを基準でルール決め

――ドイツのブンデスリーガは今季の降格をなくし、昇格は認めて1部リーグを拡大する案が検討されているそうです。

(※19日、Jリーグは今季のJ1、J2での昇格を残し、降格をなくす事を発表した)


 欧州サッカーの5大リーグがどういう昇降格の扱いをするかには注目しています。さまざまな方法が検討されると思いますが、カンファレンスの分け方や、アリーナが取れるのかといった問題もあります。今すぐ決まることでもありません。ただそれも考え始めるようには競技運営部には伝えています。4月のどこかにはそこまでシミュレーションしておかないとダメでしょう。


――終盤戦になると残留、プレーオフ出場などを巡って「試合が中止になると有利」といったケースも想定されます。開催の可否がチーム事情に左右されないようルールを緻密に作って、徹底する必要があるのではないですか?


 37.5度ルールも、37.0度でやっていたクラブがありました。リーグのルールをより厳しく運用していたということですね。そこをもう一回(全クラブが一律の)運用に耐えうるルールに作り直して、それは何があっても守らないとダメだと考えています。


 選手は毎日検温していますので、それぞれの平熱が分かってきました。平熱が違うと一律に「37度何分」だけでは議論できません。平熱+1度くらいが基準なのかなと思っています。それも含めてしっかりしたルールをもう一回決める必要がありますし、再開への条件にもなります。

コロナに勝利し、1日でもリーグ戦を再開したいと語気を強めた
コロナに勝利し、1日でもリーグ戦を再開したいと語気を強めた【スポーツナビ】

――経営面ではどのようなクラブ支援策を考えていますか?


 配分金の前倒しが一つです。二つ目として各自治体による無利子無担保の融資制度が出来はじめています。売上10〜15%減の場合など条件があるので、本当に合致するのかという部分は、確認の必要がありますが、それをしっかり進める。三つ目として親会社がある場合は増資をしてもらう、貸し付けてもらう方法もあります。


 資金繰りがどうなるかは、クラブから4月10日までにリーグに提出してもらいます。増資や貸付で資金繰りが持つクラブと、交渉次第で持つチーム、そしてそれでも難しいチームに分かれます。「それでも難しいチーム」は無利子無担保の融資を受けられるように動きたいとは思っています。


 それでも足りない分はリーグが銀行から借りて貸し付けるような対応も考えていて、そこまで金融機関などとの交渉は始めています。


――Bリーグはライセンス制度の運用を通して、各クラブの経営透明化と、債務超過解消など財務基盤の強化を図ってきました。19年6月期時点で債務超過だったバンビシャス奈良と福島ファイヤーボンズにも新たなオーナー企業が入り、解消のメドが立っています。そういった変化は存続、資金繰りの助けになっていますか?


 なっていると思います。統合した途端に現在の状況になっていたら、今ごろ10クラブくらいが大騒ぎしていたでしょうね。福島も識学さんという東証マザーズ上場の企業が親につきました。群馬もそうですし、いろいろな企業がついてくださっています。それは非常にありがたいことですね。


 結果として(2019-20シーズンは)赤字になってしまうかもしれないけれど、貸付金、増資で資金繰りを回すことが優先です。なのでライセンス制度はその影響を見極めた上で仕切り直すしかないと考えています。

――Jリーグとプロ野球が組んで、専門家も呼んで「新型コロナウイルス対策連絡会議」をやっています。Bリーグからも人が出て会議を傍聴していますが、どういう受け止めですか?


 参考にしつつも、専門家の方も「こうすれば100%大丈夫」とは立場上言えないだろうと思います。やるやらないの最終判断はリーグが下し、リスクを取らなければいけません。


――再開の判断はどう考えていますか?


 一つはプロ野球とJリーグがどういう動向になるかが大きいですね。選手も「野球もサッカーもやるなら自分たちも遠距離移動をしても大丈夫かな」というきっかけになると思います。


 もう一つはどういうときに選手がプレーをしてはいけないか、関係者が会場に入ってはいけないかといったルールが重要です。「37.5度が2回」だけでは持たないなと感じたので、そこを改めて練ります。クラブから選手にルールを徹底してもらいつつ、同時に選手会の事務局から各選手に通達してもらうという二通りでやります。来週も選手会のメンバーと話をして、「こういうルールは作ろうと思っている。どう思うか?」と聞こうと考えています。本来はリーグが決めてクラブを通して伝達することも多いのですが、有事なのでそこは丁寧に向き合っていきます。


――選手登録の最終期限は2月末で、その後はもう補強ができません。仮に外国籍選手が欠場すればもう別のチームで、そのようなチームが優勝や昇格、降格のかかる試合に臨むことになったら問題です。


 それは大きいですね。チャンピオンシップ、残留プレーオフなどに出そうなチームとは個別に話をしようと思っています。ドクター経由でないとダメなんだけど、抗体検査キットを各チームが仕入れる努力ができるかできないかとか。そういうことまでチャレンジしながら、上位争いや昇降格に関わるチームとは小まめに議論します。


 審判の問題もあります。リーグ戦は2人の審判でもやろうと決めていました。ところが残り2人の審判も前日に一緒に笛を吹いて行動をともにしているわけですから、危ないじゃないですか? それで3人ともダメと言われると、中止になった15日の千葉対宇都宮のようなことになる。リーグ戦はそこまで数がそろわないですけれど、ポストシーズンは試合数も限られるので、審判を余分に連れて行く考えもあります。

コロナに勝利し、安全なアリーナで再開したい

――お客さんの安全、健康を保つための施策はどんな考慮をしていますか?


 無観客での試合再開をする話と、お客様に来ていただいて再開する話は難易度が格段に違います。お客様が入ってとなると、さらなる手を打たないといけない。サーモグラフィーを一括して20台くらい買おうという手配はしています。


 それで完璧とは言いません。なので不安のある方はチケットの払い戻しをします。来られた方はそういう装置で目視して、赤く出た方には個別に検温をしてもらうといったことをやる。


 応援時の声出しがどうといった細かいところはまだ決めていませんが、お客様が入っての再開となるとそこまで決めてやらないと難しいんだろうなと思います。


――今ファンの皆さんに伝えたいことはありますか?


 選手の安全、ファンの安全をしっかりクリアした上で、1日でも早く皆さんの前で試合を再開したいと考えています。船橋アリーナで千葉ジェッツが「コロナニショウリ」というコレオグラフィーを出したじゃないですか? まさに私も、ファン、クラブ、選手みんなが力を合わせて早くコロナに勝利したいなという思いでいっぱいです。

大島和人
大島和人

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都町田市に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。バスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、バレーなどの現場にも小まめに足を運び、試合観戦数は毎年300試合を超える。日本を実はサッカーだけでなくバスケ強国であるスペイン、バレー王国・ブラジルのような球技大国にすることが一生の夢で、“球技ライター”を自称している。

おすすめ記事(スポーツナビDo)

記事一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント