ラ・リーガ前半戦で一大センセーション バルベルデがマドリーにもたらしたもの

ラ・リーガ6節のオサスナ戦で初スタメンを飾ると、そのままインテリオールのレギュラーに定着。13、14節にはミドルシュートで連続ゴールを挙げるなど、攻撃面での貢献が小さくない 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

 ポール・ポグバの獲得に失敗したレアル・マドリーの中盤に、若き救世主が現れた。21歳のウルグアイ代表MF、フェデリコ・バルベルデだ。ラ・リーガ6節に初スタメンを飾って以降、このカスティージャ(Bチーム)出身の逸材は、インテリオールの一角として不可欠な存在となっている。現地時間12月18日のクラシコを前に、注目選手のひとりに挙げる現地メディアも少なくないが、彼がマドリーにもたらしたものとは、いったいなんなのか。スペイン人戦術アナリストが、そのプレースタイルを分析する。

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あらゆる能力を備えたマルチプレーヤー

 21歳のウルグアイ代表MFフェデリコ・バルベルデは、今シーズン前半戦のラ・リーガでセンセーションを巻き起こした選手のひとりだ。

 かねてからその潜在能力を高く評価していたジネディーヌ・ジダン監督に抜擢(ばってき)されると、4-3-3の左右のインテリオール(インサイドハーフ)としてハイパフォーマンスを披露。2018年の夏にマテオ・コバチッチがチェルシーに移籍して以来、縦への推進力を持ち味とするセントラルMFが不在だったレアル・マドリーで存在感を放ち、ポジティブな風を吹き込んでいる。
 
 ここまでリーガでのスタメン出場は8試合。昨シーズンの6試合をすでに上回っている。主戦場は右のインテリオールで、マドリーの中盤はアンカーにカゼミーロ、その前に左インテリオールのトニ・クロースとバルベルデを並べる形がもっとも一般的だ。

 その中でバルベルデに与えられている役割は、攻撃に縦の奥行きを作ること、そして相手の攻撃の流れを寸断することだ。後述する左インテリオールとして起用される場合は若干異なるが、攻守の両局面においてバルベルデの位置取りは常に高い。

 両ウイングで誰がプレーするかにかかわらず、1トップのカリム・ベンゼマがポストプレーで落としたボールを中央のレーンで受けるのは、もっぱらバルベルデの役割だ。特筆に値するのはベンゼマの動きに応じて、みずからもポジションを細かく修正できる能力で、バイタルエリアでパスを受けて得意の右足でミドルシュートを放つシーンも少なくない。

 こうした高いポジション取りは、もちろん守備の局面でも効力を発揮する。バルベルデがプレスの先導役を担い、相手に圧力をかけ続けるのだ。

 基本的に、あらゆる能力を備えたマルチプレーヤーと言っていいだろう。パス、シュート、フリーラン、プレス、インターセプト、マーク、アプローチ。すべてのアクションを迅速な判断とシャープな動きで実践する。インテリジェンスに裏打ちされた的確なポジショニングもセールスポイントで、さらに当たり負けしない体幹の強さ、スタミナ、跳躍力も持ち合わせている。
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著者プロフィール

1995年、マドリード生まれ。マドリード・コンプルテンセ大学ジャーナリズム学部を卒業。ミゲル・アンヘル・デ・セルバンテス・ヨーロッパ大学でサッカーの分析とスカウティングを学ぶ。『アス』紙の記者や 複数のメディアでの試合実況、コメンテーターなどを経て、現在はアナリストとして『エコス・デル・バロン』に籍を置く。

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