香西宏昭が志向する緻密な車いすバスケ 「障がいの度合い」によるチーム編成が鍵
世界を知る男が語るメダル争いのライバル
メダル争いはイギリスとアメリカが一歩リードすると語る香西 【写真:C-NAPS編集部】
一方、イギリスではサイモン・ブラウン選手とハリー・ブラウン選手の2人がチームの中心になるでしょう。彼らがいるのといないとでは、チームプレーの出来が大きく変わるほど重要な選手です。得点能力が高い選手も重要ですが、彼らのように黒子に徹する選手がいることで、チームがより機能します。助け合いの精神が必要な車いすバスケットボールではなおさらそうした選手の存在は貴重ですね。
パラリンピックでは車いすバスケットボール界のマイケル・ジョーダンことパトリック・アンダーソン(左)にも注目だ 【写真:ロイター/アフロ】
世界のスター選手と戦う機会はこれまでたくさんありましたが、強豪国との対戦では体格の差を痛感しますね。身長はもちろん、腕の長さも異なるのでどうしても高さに差が出ます。日本としては、世界の高さにスピードで対抗したいですね。日本は世界でも5本の指に入るスピードが武器なので、その強みにプラスして緻密なプレーとチームワークの精度を追求することで対抗したいと思っています。
リオでの悔しさを胸に東京での金メダル獲得を目指す
後悔が残ったというリオでの経験を生かし、東京では金メダル獲得を目指す 【Getty Images】
実際に日本が金メダルを獲得する可能性は十分にあると思います。それくらい世界の実力差は拮抗(きっこう)していて、どこが勝ってもおかしくない状況です。日本の「スピード」「緻密さ」「チームワーク」を軸にしたバスケに適応できた国は指折り数えたくらいしかありません。本番までにコンディションを整え、どれだけ精度を高められるか。この2点に注力します。
僕は悩んだ末に、本番までの1年間を日本でプレーすることに決めました。日本を拠点にしてプレーするのは12年ぶりです。パラリンピックで結果を残すためには、フィジカル能力の向上やコンディションの維持が不可欠になります。毎週のように試合が続く海外と比べると実戦の機会は少ないですが、弱点の強化に集中できる点がメリットです。自身のレベルアップのために、より多くの時間を割きたいと考えています。
東京パラリンピックは自国開催ですが、あまり気負いし過ぎないことを意識しています。リオの時は思いが強すぎて平常心を保てず、感情をうまくコントロールできませんでした。その反省を生かしたいですね。今やるべき事にフォーカスし、自分自身を見失わないよう冷静に準備していきたいです。本番では日本のバスケを世界に見せたうえで、金メダル獲得の夢を実現させたいですね。
(取材協力:オリエンタルホテル 東京ベイ 日本料理 美浜)