今年の入札は「BIG3」に集約か? 西尾×小関×福田ドラフト鼎談2019

永松欣也
 10月17日に行われるプロ野球ドラフト会議。今年の1位指名12人は一体どんな顔ぶれになるのか? そこで、アマチュア野球の逸材を追って全国各地で取材活動を行うおなじみのお三方、西尾典文氏(野球ライター)、福田豊氏(日刊スポーツ所属)、小関順二氏(野球ライター)に今年も集まっていただき、それぞれが考える12人の名前を挙げていただきました(実施日:10月6日)。

3氏が挙げるドラ1候補12人

MAX163キロの速球が注目される大船渡高・佐々木だが、制球面やフォームに関しても不安はないようだ 【写真は共同】

■西尾氏が挙げるドラフト1位12人
<高校生>
佐々木朗希(大船渡高・投手)、奥川恭伸(星稜高・投手)、西純矢(創志学園高・投手)、石川昂弥(東邦高・三塁手)
<大学生>
森下暢仁(明治大・投手)、海野隆司(東海大・捕手)、佐藤都志也(東洋大・捕手)、杉山晃基(創価大・投手)、吉田大喜(日本体育大・投手)
<社会人>
太田龍(JR東日本・投手)、河野竜生(JFE西日本・投手)、立野和明(東海理化・投手)

■小関氏が挙げるドラフト1位12人
<高校生>
佐々木朗希(大船渡高・投手)、奥川恭伸(星稜高・投手)、西純矢(創志学園高・投手)、石川昂弥(東邦高・三塁手)、宮城大弥(興南高・投手)
<大学生>
森下暢仁(明治大・投手)、海野隆司(東海大・捕手)、郡司裕也(捕手・慶応義塾大)、津森宥紀(東北福祉大・投手)
<社会人>
太田龍(JR東日本・投手)、河野竜生(JFE西日本・投手)、宮川哲(東芝・投手)

■福田氏が挙げるドラフト1位12人
<高校生>
佐々木朗希(大船渡高・投手)、奥川恭伸(星稜高・投手)、西純矢(創志学園高・投手)、石川昂弥(東邦高・三塁手)、堀田賢慎(青森山田高・投手)、森敬斗(桐蔭学園高・遊撃手)
<大学生>
森下暢仁(明治大・投手)、海野隆司(東海大・捕手)、佐藤都志也(東洋大・捕手)
<社会人>
浜屋将太(三菱日立パワーシステムズ・投手)、河野竜生(JFE西日本・投手)、立野和明(東海理化・投手)

佐々木、奥川は「高校野球歴代1、2位」

――それでは上記で挙げたドラフト1位候補の12人について、お三方に語っていただきます。佐々木、奥川、森下、西、海野、石川、河野の名前は皆さんそろいましたね。この中で入札が間違いなさそうなのは佐々木、奥川、森下の3人でしょうか?

西尾 そうですね。海野、石川、河野、西は外れ1位じゃないですかね? 西はひょっとすると一本釣りを狙ってくる球団があるかもしれませんね。

福田 西はあるかもしれないね。

小関 広島あたりがくるかもしれませんね。

――改めて、佐々木、奥川、森下の「BIG3」の良さを解説いただけますか?

西尾 佐々木は地方大会の決勝で投げなかったとか、U-18で指にマメができたとかいろいろ言われていましたけど、やっぱり「モノが違う」と思いますね。

 奥川、森下と比べて未完成じゃないですか? それなのに、あれだけすごいというのが逆に魅力だと思いますね。大谷翔平(エンゼルス)の高校最後の夏の大会は現場で見られませんでしたけど、高校3年の春の時点で比べてみても、佐々木の方が遙かに完成度がありますから。

 大谷がプロでは2年目から先発ローテーションで投げていたので、そう考えると佐々木が指摘されている問題点は、本当に小さいことだと思います。今年のドラフト候補の序列で1番というより、ここ何年間での序列の中でも“ちょっと抜けている存在”だと思います。

――大谷はドラフト時点でメジャー指向が強かったですが、佐々木は今のところ国内志向というのもプロ側からすれば評価する点かもしれませんね。

西尾 いずれは行くと思いますけどね(笑)。

小関 ネットでは佐々木と奥川を天秤にかけて、佐々木を褒めると奥川が下がる、奥川を褒めれば佐々木が下がる、みたいな感じになっていますけど、両方ともすごいですよ。

 奥川もこの夏の延長14回までもつれた智弁和歌山戦ではストレートが79球あって、平均スピードが150キロ超なんですよ(※編注:奥川は14回を投げ切り、165球で完投勝利)。

西尾 すごいですよね(笑)。

小関 それであのスライダーがあって、アウトローの変化球のコントロールがあって。見逃しの三振が異常に多いんですよね。

――柔の奥川、剛の佐々木という感じでしょうか?

小関 佐々木は剛だからといって、荒っぽいだけじゃなくてフォームもいいんですよ。体が開いたりしないし、肘が下がったりもしない。それでスライダー、フォークも非常に良くて、ストレートが163キロ出て。この2人はちょっと、僕の高校野球を見てきた中でも歴代1位、2位の投手ですよね。どっちが上かと言われれば、今のところは佐々木かなと思っていますけど。

――今春のU-18の代表合宿の時から、選手や関係者たちが「これはすごい」という反応でしたよね。

小関 「こんなの見たことない」、「スピードが違う」って言っていましたよね。

西尾 夏にあったU-18の壮行試合で、(ドラフト候補でもある)キャッチャーの水上(桂・明石商高)がボールを捕れなかったのがすごかったです(笑)。暗いとはいえ、キャッチングがうまくて呼ばれたキャッチャーが、ストレートを捕れないんですからね。衝撃でしたね。

小関 スライダーは藤田(健斗・中京学院大中京高)が捕れなかったんでしたっけ?

西尾 そうですね。それで藤田がすごく練習したらしいですけど。

小関 別格ですよね、この2人は。

福田 2人ともすごいピッチャーだなというのが正直な感想なんですけど、でもやっぱり全ての面で佐々木が上だなと思いますね。コントロールは全く心配ないし、フォームも全く悪くない。クイックもものすごく速くて、スキがないんですよ。体が100%まだできていない中であれだけ投げられちゃうという。もう、底知れないですよね。

星稜高・奥川は見逃し三振の数が異常に多いという 【写真:アフロ】

――すごいピッチャーが同じ年に2人も出てきちゃったんですね。

西尾 でも、佐々木が出てこなかったら、奥川はこんなにすごくならなかったんじゃないですかね?

小関 そう思います。引っ張られていますよね。

西尾 奥川がいなかったら佐々木も同じだったと思いますね。

小関 春の代表合宿で奥川は間違いなく刺激を受けたと思いますよ。2人の個性が違うので、プロに行ってもいいライバル関係で並び称されるんじゃないですかね。

――この2人に1位指名が集中すると思いますけど、どっちの方が多く集まると予想しますか?

小関 佐々木でしょう。

西尾 オリックスが1位指名でいくって(新聞に)出ていましたね。

福田 大丈夫ですかね? 育てられますかね? しっかり育ててほしいですよね。

西尾 阪神ファンの友人は「ウチは取っちゃダメだ」って言っていました(笑)。

小関 藤浪晋太郎を何とかしてからじゃないと指名しちゃダメです(笑)。

――なんだかんだで、佐々木の方に多く集まるだろうと?

西尾 ちょっと多いぐらいじゃないですか? 僕は佐々木6球団、奥川4球団、森下2球団くらいだと思います。

小関 僕は佐々木6、奥川3、森下3かなぁ。高卒投手を育てるのがうまくない球団は即戦力の森下を指名するような気がしますね。

福田 僕は佐々木5、奥川5、森下2と予想しています。

<次ページは明治大・森下の評価について>

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著者プロフィール

1976年、大分県速見郡生まれ。サラリーマン生活を経て30歳からWEBスポーツ界へ。多くのスポーツサイトの企画・編集、ディレクションなどを経てフリーランスに。現在はWEBディレクションと並行して、少年野球、高校野球関連サイトの企画・編集・監修も務めている。

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