スタジアムの立見席が観客動員を支える!? ブンデスリーガ探訪記(1)

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課題は国際化、日本でもさらに存在感を

ミュージアムに展示されるトロフィーの数々。勝ち取った幾多の栄冠が、バイエルンの価値の高さを証明している 【スポーツナビ】

 観客数が増えていることは、ブンデスリーガの売り上げにも大きく貢献しており、右肩上がりで成長を続けている。17-18シーズンの1部、2部を合わせた売り上げは44億ユーロ(約5165億円)。7年前の10-11シーズンから2倍に成長している。これは観客動員が増えていることに加え、スポンサー、そして世界各国でのライブ配信のパートナーが増えたことも大きい。

 国内で活況を呈するブンデスリーガにとって、今後より注力していくのが国際化だろう。彼らは課題とまでは言っていないが、国際化という点においては、プレミアリーグ、ラ・リーガに比べると、やや出遅れた感もある。では、他リーグから参考にしていることはあるのか。ここはパーカー氏の説明が興味深い。

「プレミアリーグの強みは英語です。英語だから他国のファンもすぐにコンテンツを楽しめる。ブンデスリーガでも00年以降、現地の言語にローカライズされた情報配信に努めています。一方、ラ・リーガの取り組みはいつも意識しています。例えば、ラ・リーガは国外でリーグ戦の試合を開催するなど、新しい試みにトライしています。日本ではMLBが公式戦を行っているでしょう。そういうことを、ブンデスリーガでは一度も試したことがありません。それもあってか、ラ・リーガの動向は常に意識しているのです」

ブンデスリーガではこれまで多くの日本人選手が活躍。その実績は欧州でも断トツを誇る 【スポーツナビ】

 幸い、日本では近年ブンデスリーガで活躍する日本人選手が増えたことで、人気、知名度も一定のレベルにある。ブンデスリーガの報告によれば、1998年から今日まで、29人の日本人選手がプレーし、1905試合に出場、188ゴールを挙げているという。これはもちろん欧州5大リーグで断トツの数字である。よく言われることだが、勤勉なドイツと日本サッカーの相性はいい。これらのアドバンテージを生かし、どこまで存在感を引き上げられるか。

 パーカー氏は「ブンデスリーガのレジェンドである、オリバー・カーン氏や奥寺康彦氏にも活躍してもらうこと、クラブによる日本ツアーの支援など、地域とのつながりをつくれる施策を進めていきたい。そして、将来ブンデスリーガの故郷(本場)を訪れることで、より一層ファンになってもらえたら」と結んだ。

 ブンデスリーガの成長を、われわれが手伝えることは何か。ひいてはブンデスリーガの取り組みを、日本サッカー、さらにはスポーツシーンにおいて、還元できることはないだろうか。答えはそう簡単には見つかるまい。ただ、前述のチケット価格、立見席のケースのように、何かしらのヒントはありそうだ。巨大なアリアンツ・アレナを前にして、考えるきっかけを与えられたような気がする。

(取材・文:今成裕/スポーツナビ)

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