リーチ マイケル、日本ラグビーに生きる 「愛されるチームになるため小さな努力を」
日本刀のような切れ味だったリーチの走り
2大会連続で日本代表主将としてワールドカップに挑むリーチ マイケル 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
大会が近づくにつれて、リーチはターゲットをベスト8、ベスト4、そして優勝と徐々に上げていった。最近は「パシフィックネーションズ・カップ(PNC)も優勝を狙っていませんでした。目の前の試合を一試合ずつ戦っていきたい。一番大事な試合は開幕のロシア代表戦です。先を見ない方が今のチームに合っている」と語気を強める。
昨年11月、ラグビーの聖地「トゥイッケナム」で善戦したイングランド代表戦、そして逆転勝ちしたロシア代表戦。日本代表では両サイドに張っているバックス、バックローの選手たちを合わせて「サムライ」と呼んでいるが、欧州遠征でのリーチのランは、まさしく日本刀のような切れ味だった。
3勝を挙げた前回大会も主将だったリーチについていけば、2019年、大きなプレッシャーの中で迎える自国開催のワールドカップでも、日本代表とファンに大きな歓喜をもたらすのでは、と大きな期待を感じた遠征だった。
「世界のどのチームよりも準備期間が長い」
恥骨炎の影響で春は別メニュー調整が続いた 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
しかし3月、真面目で責任感のあるリーチの性格があだになったのだろうか、恥骨を痛めて別メニューとなってしまう。恥骨炎は「グロインペイン」と呼ばれ、サッカー日本代表の中山雅史氏、長谷部誠も苦しんだ、治りにくい病気である。
当初リーチは5月、特別編成チーム「ウルフパック」のオーストラリア遠征で復帰する予定だったが、長時間のフライトの影響で悪化し、ニュージーランドで治療を受けた。6月の宮崎合宿も途中までは別メニューだったが、どうにか7月のPNCのフィジー戦で本格復帰を果たしたというわけだ。
リーチが練習や試合に参加できない間、チームにとって良かった点もあった。それはFLピーター・ラブスカフニ、FL/No.8姫野和樹、SH流大といったリーダーグループ9人のリーダーシップが育まれたことだ。現在では、さほどリーチが声をかけなくても、他のリーダーたちが率先してチームを引っ張るような状況になっている。リーチは「自分が声をかけなくても良くなってきて、自分の中でも少し甘えていたこともあった。これからは、キャプテンとして身体でチームを引っ張っていきたい」と逆に引き締めていた。
「知ることでより日本が好きになる」
多様なバックグラウンドを持つ選手たちをまとめている 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
「ラトゥさんがいなかったら、今の僕はいない。また現在の日本代表はダイバーシティーがあり、いろいろな国の人がいます。もっと日本を知ってもらわないといけない。日本は1000年以上の歴史を持っている。たくさん、いい感じの文化も持っている。知ることでより日本が好きになるし、もっと頑張らないといけないと思うようになります」(リーチ)