上山友裕が教えるパラアーチェリーの心技 選手の緊迫感が伝わる極限の“一本勝負”
韓国やイランなどアジア勢のライバルにも注目
韓国のキム・ミンスらを筆頭に、上山がメダルを争うライバルたちはいずれも実力者ばかりだ 【写真:C-NAPS編集部】
6月の試合でミンスが僕の2つ前の順番でアーチェリーの予選をやっていたんですけど、なんと世界記録を出しまして。びっくりしましたけどめちゃくちゃ上手くて、もう「ライバル」と公言するのを控えようかなと思っているところです(笑)。
ミンスは予選ラウンドで世界記録出せるほどの実力がありますが、国際大会のタイトルをまだ手にしていません。今はまだ、それほど注目度は高くないかもしれませんが、東京パラリンピックでは必ず上位に入ってくる選手です。もしかしたら僕とゴールドメダルマッチを争うことになるかもしれないので、ぜひ注目していてほしい選手ですね。
国単位だと間違いなくイランです。ロンドン・リオデジャネイロとパラリンピックを2連覇していて、世界ランキング1位に君臨するザハラ・ネマティ選手を擁しているなど、頭一つ抜けた強さを誇っています。彼女とはミックスの試合で対戦経験がありますが、その時はあえなく敗れました。五輪にも出場している図抜けた存在です。東京パラリンピックにも確実に出場するであろう実力者なので、ミックスでは強力なライバルとなります。
東京2020はパラアーチェリーを広める“最初で最後のチャンス”
常に支えてくれる末武コーチ(左)や応援してくれる人たちのためにも、自身の活躍で大会を盛り上げることを誓う上山 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】
僕はすでにパラリンピック出場が内定しているので、まだ1年以上の準備期間があります。これほどの期間が空いたことがないので、末武寛基コーチと相談しながら道具やフォームをいろいろと“試す”ことができています。今の自分の実力が100だとしたら、それ以上の力を出すための可能性を模索している最中です。東京では最高の状態で臨みたいと思いますので、活躍を期待していてください。僕は注目されると燃えるタイプなので。
東京2020は自国開催なので、「パラリンピックをどう成功させるか」という視点が非常に重要になります。自国でやるからには自分の成績に加えて、「大会を成功させなあかん」という自覚が選手に芽生えないといけないと思っています。だからこそ、僕は満員の会場で金メダルを取りたいです。リオの時に実感しましたが、メダルを取っていない競技の注目度はどうしても低いですよね。メダルを取って大会を盛り上げることで、競技の認知度アップにも貢献したいです。
他国で行われるパラリンピックに、応援に来てもらうのはなかなかハードルが高いですが、今回の舞台は東京。日本でパラアーチェリーが脚光を浴びる、“最初で最後のチャンス”じゃないかなと僕は思っています。「日本を応援しているけどパラアーチェリーのルールは知らん」「ルールは知っているけど、上山の試合は見たことない」という方々に「面白い!」と興味を持ってもらえる試合ができるよう、精一杯頑張りたいです。