早めの仕掛けと新たな助っ人ルート開拓 2019プロ野球途中入団・支配下登録リスト

スポーツナビ

7月9日、社会人チームとの三軍戦で実戦デビューを果たしたスチュワート 【写真は共同】

 プロ野球の新規支配下登録及びトレードの期限が、7月31日をもって終了した。シーズンを戦う上で浮き彫りになった弱点を補ったり、チームにプラスアルファをもたらす選手を加入させたりと、12球団のほとんどで活発な途中補強が見られた。

 今季の特徴としては「早めの仕掛け」と「新たな助っ人ルート開拓」が挙げられる。

 前者について、開幕後のトレード件数は7件で、昨季(6件)とほぼ変わらない。だが、昨季は5件が7月以降に成立したのに対して、今季は6月28日〜7月8日の計11日間で6件成立と、時期が早まっている。

 後者は、福岡ソフトバンクが獲得したカーター・スチュワート・ジュニアの例を指す。前年にMLBのドラフト1巡目で指名された選手がNPBにやってくるのは前例のないことだが、彼の今後の活躍次第では「プロスペクト」と呼ばれるような若い外国人選手が次々と日本に訪れるかもしれない。

 以下、各チームの補強状況。(※開幕以降の新規支配下登録、トレードを対象。チーム順は7月30日現在の両リーグ順位表をもとに記載。日付はNPBの公示日を基準とする)

パ・リーグ

<福岡ソフトバンク>
#2  スチュワート・ジュニア(投手:6月3日、東フロリダ州立短大より加入)
#46 コラス(外野手:6月24日、育成選手から移行)

 スチュワート・ジュニアの加入は日米で話題となった。米国メディアによると6年総額700万ドル(約7億7000万円)の大型契約。最速98マイル(約158キロ)の直球と縦に鋭く変化するカーブで、空振りの山を築く。そんな超逸材は7月9日、社会人チームとの三軍戦で実戦デビュー。今季中は日本の環境に適応する日々を過ごすと思われるが、いずれは一軍のマウンドで躍動することだろう。

 コラスはキューバ代表の一員として、2015年のU18ワールドカップに出場。投打の二刀流で活躍し、ソフトバンク入りを果たした。プロでは打者に専念し、3年目の今季は二軍で打率・本塁打・打点のすべてでリーグトップクラスの成績をマーク。支配下登録を勝ち取った。

<北海道日本ハム>
#56 吉川光夫(投手:6月28日、巨人よりトレード)
#30 宇佐見真吾(捕手:6月28日、巨人よりトレード)

 12年のMVP左腕・吉川が北の大地に戻ってきた。巨人でプレーした2年半の中ではリリーフも経験。しかし栗山英樹監督からは「一番光る場所があるはず」と、慣れ親しんだ先発での起用を明言された。ここまで勝ち星に恵まれていないが、故障離脱した上沢直之の穴を少しでも埋めたいところだ。

 吉川とともに加入した宇佐見は移籍直後の7月2日、本拠地・札幌ドームでの西武戦でプロ初の猛打賞と大活躍。「打てる捕手」として出場機会を得ており、チームの底上げに貢献している。

<埼玉西武>
#78 齊藤誠人(捕手:6月28日、育成選手より移行)

 齊藤は国立大学(北海道教育大岩見沢校)出身、その大学時代は指導者不在だったという、珍しい経歴の持ち主。プロ入り後はファームで実戦経験を積み、配球面やキャッチング技術が向上。2年目の今季、支配下登録を勝ち取った。同級生の森友哉がいる一軍の舞台に駆け上がることができるか。

由規は地元・仙台で復活のマウンドを目指す 【写真は共同】

<東北楽天>
#59 熊原健人(投手:3月29日、DeNAよりトレード)
#46 下水流昂(外野手:7月4日、広島よりトレード)
#54 和田恋(内野手:7月8日、巨人よりトレード)
#63 由規(投手:7月29日、育成選手より移行)
#68 寺岡寛治(投手:7月29日、育成選手より移行)
#97 ルシアノ・フェルナンド(外野手:7月31日、育成選手より移行)

 石井一久GMの下、積極補強を展開する楽天。7月に入ってから2件のトレードをまとめ、月末には2人の投手を支配下登録させた。

 下水流は加入直後から一軍に合流。持ち前の勝負強い打撃でチームを鼓舞している。巨人時代は二軍暮らしが長かった和田は、7月27日のロッテ戦でプロ初打点をマーク。プロ6年目を迎えた「未完の大器」が新天地で開花するか。

 そして、由規が地元・仙台で復活ロードを歩み始めている。昨オフ、育成選手として楽天に加入すると、今季は二軍で7試合12イニングを無失点の好成績。古傷でもある右肩痛と戦いながら、支配下登録を勝ち取った。次の目標は優勝争いのさなかで一軍のマウンドに上がることが目標だ。

<千葉ロッテ>
#58 石崎剛(投手:7月5日、阪神よりトレード)
#79 マーティン(外野手:7月26日、インディアンスより加入)

 石崎は昨季受けた右肘手術からの復活を目指しているが、17年秋には侍ジャパンに選出された経験を持つ。貴重な右のサイドハンド、そして150キロ超を投げられる剛腕ゆえに、新天地での働き場所は必ずあるだろう。

 マーティンは通算58本塁打、126盗塁の実績を誇る、バリバリのメジャーリーガー。来日していきなり4試合で2本塁打を放つと、さらには「157キロが出る」という触れ込みの強肩も度々発動。早速マリーンズファンを喜ばせている。

<オリックス>
#98 張奕(投手:5月2日、育成選手より移行)
#33 松井雅人(捕手:7月2日、中日よりトレード)
#56 松井佑介(外野手:7月2日、中日よりトレード)
#1  モヤ(外野手:7月2日、中日よりトレード)
#95 神戸文也(投手:7月25日、育成選手より移行)
#96 本田仁海(投手:7月25日、育成選手より移行)

 オリックスはトレードと育成選手からの移行で6名を新たに支配下登録させた。これで上限の70名に達している。

 インパクトを残したのは中日とのトレードだ。かつてのドラ1左腕・松葉貴大と若手外野手の武田健吾を放出して、ともにベテランの域に差し掛かる松井雅と松井佑を獲得。そして金銭トレードでモヤを引っ張ってきた。伏見寅威の大ケガ(左足アキレス腱断裂)による捕手不足、ジョーイ・メネセスのドーピング違反による契約解除が背景としてあったのは、周知の事実だろう。

 選手もその期待に応え、松井雅は主に2番手捕手として安定感あるプレーを披露。若きエース・山岡泰輔を1安打完封に導くこともあった。モヤは移籍後最初のゲームで一発を放ち、その後もクリーンアップの一角を担う。松井佑も7月27日のソフトバンク戦で移籍後初アーチを含む3安打の大活躍。持ち前のパワフルな打撃を見せている。

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