五十嵐亮太、戦力外通告からの復活劇 契機となった「ロケットボーイズ」再結成
修正が難しい「フォームのずれ」
石井投手コーチへの感謝を語る五十嵐。かつての「ロケットボーイズ」の相棒が、今季の好調を支えている 【スリーライト】
そう言って、五十嵐は苦笑した。
「20年もやっているのに、フォームのずれが修正できないんだから。僕自身、なんでできないのかなと思うんですが、野球選手ってみんな、いつもフォームに悩んでいるんです。ピッチャーだけじゃない、バッターもそうです」
フォームの修正。確かにこれほど難しい作業はないだろう。まず、「何が正しいのか」の定義がないに等しいのだ。だからみな、まずは「一番調子が良かったときのフォーム」に立ち返ろうとする。
「僕は“いいときに戻す”のは、あまり正しい方法ではないかなと思って、どの時期も、そういうフォームの作り方はしていないんです。でも、いいときの状態を追い求めたい気持ちは分かる。“だから、結果が出たんだ”と理由付けできるから。だけど、そこを追い過ぎてもダメだと思う。僕は自分が今ある中で、どうすべきかを見直すんです」
「僕の場合はやはり腰がよくなかったので、姿勢がどんどん悪くなり、お尻が寝てしまう。そこで、骨盤を立てる。また、姿勢を正すとあばらが開いてしまうから、それを抑えるために体幹に刺激を入れる。細かいことを挙げていくと、正直キリがない。でも、そういうところから石井コーチに見てもらい、今どのへんにずれがあったか、今どこの開きが早かったか、自分の脳に叩き込んでいきました。頭で描いたものと感覚のずれを修正、調整していくわけです」
史上初となる40代での月間5勝
「試合でそれなりに投げていることにも、数字そのものにも、僕自身ちょっとびっくりしています。要因はいろいろありますよ。リーグが変わって、バッターが僕のピッチングや球自体に慣れていなかった。けど技術的な問題を石井コーチにしっかり修正してもらったのが、やはり大きかったですね。それを継続して今に至っている。石井コーチには本当に感謝しています」
とはいえ、修正作業はこれで終わったわけではない。
「投げている限り、その作業はやっていかなければならないと思います。日々、同じ感覚のつもりでも、やはりずれは生じる。だからその日いいところを自分の中で見つけ出し、何か一つポイントを定めて修正していく。それの繰り返しですね」
5月28日、五十嵐は40歳の誕生日を迎えた。孔子は「不惑」と言うが、五十嵐はまだ迷い続けている。ポリシーである“渾身のストレート”を投げるため、試行錯誤を続けている。
(企画構成:株式会社スリーライト)
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