マスターフェンサー5着善戦の功績 日本馬が米国三冠レースを勝つためには

JRA-VAN

日本陣営がまず考えるべきは2400mのG1ベルモントSの攻略法

日本調教馬初の快挙こそならなかったものの、マスターフェンサーの功績は大きい 【Photo by Getty Images】

 G1ケンタッキーダービーで末脚を光らせたマスターフェンサーは今回は勝ち馬が仕掛けたタイミングでついてゆくことが出来ずに脚を余した印象だ。「3コーナーで馬を押していこうとしたが、ペースがあがった時に置かれてしまった」(ルパルー騎手)と思惑通りとはならなかったが、直線があと50mあったら……という見せ場を作って勝ち馬から僅か3馬身差に善戦した。

 フルゲートになるG1ケンタッキーダービーは外国調教馬にはまだまだ敷居が高い。日本調教馬にとって、まず考えるべきは2400mのG1ベルモントSの攻略法ではないか。マスターフェンサーは出走資格を獲得した5月のG1ケンタッキーダービーから挑戦を開始して間隔を開けてG1ベルモントSに直行したが、(強行スケジュールにはなるが)前哨戦のG3ピーターパンSを挟んで経験を積んで本番に臨むパターンや、カジノドライヴの時のようにG1ベルモントS(カジノドライヴは挫石によって出走取り消し)だけに照準を定めてG3ピーターパンSから米国競馬に参戦する戦略も有効だろう。いずれにせよ今回のチャレンジが、遥か遠くにあった米国の三冠競走を手の届くところにまで引き寄せた功績は少なくなく、後に続くものに勇気を与えたことも確かであろう。

米国内で注目集める3歳馬3頭の次走

 最後のタイトルを掴んだサーウィンストンは、ワイルドカードの勝者としてケンタッキーダービー馬となったカントリーハウスや走行妨害による降着で幻のケンタッキーダービー馬となったマキシマムセキュリティへの挑戦資格を得た。サーウィンストン陣営は次走についてのアナウンスを出していないが、三冠を終えたトップクラスの馬たちは7月20日のG1ハスケル招待ステークス(モンマスパーク、ダート1800m)、真夏のダービーの異名を取る8月24日のG1トラヴァーズステークス(サラトガ、ダート2000m)、もしくは9月21日のG1ペンシルベニアダービー(パークスレーシング、ダート1800m)のいずれかへ向かう。マキシマムセキュリティはすでにG1ハスケル招待S参戦に向けてスケジュールを組んでおり、G1ケンタッキーダービーの直後に風邪をひく一幕があって、こちらも残る二冠をパスしたカントリーハウスはG1トラヴァーズSでの復帰が有力視されている。現地ではケンタッキーダービー組の優位が囁かれているが、勝ち味を覚えたサーウィンストンを交えた3頭の次走に注目が集まる。

(サラブレッドインフォメーションシステム 奥野 庸介)

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