W杯後の批判を受け止め…今、優勝は絶対 創造性を取り戻すべく、セレソンの変化

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W杯以降、ブラジル代表はどう変わったのか 【写真:Shutterstock/アフロ】

 8強でワールドカップ(W杯)ロシア大会を去った後、2022年を見据えて新たな4年計画を始めたブラジル。しかし、6月に開幕するコパ・アメリカ2019の結果次第では「開催国」の国民は黙っていないだろう。必要な人材の洗い出し、戦い方の再構築、リーダーシップの執り方、ネイマールのこと……チッチ監督とセレソンの変化を追った。

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チッチ続投に国民が抱く期待と不安

W杯後も続投したチッチ監督に、国民は期待と不安を抱いている 【写真:ロイター/アフロ】

 ブラジル代表がW杯ロシア大会で準々決勝敗退に終わった後、国内では激しい批判の嵐が吹き荒れた。選手個々への批判もあったが、最も盛んな議論の対象となったのが、チッチ監督。準々決勝ベルギー戦で、後半こそ巻き返しを図れたものの、前半に2点を奪われる中で修正が遅れたことに対し、試合への準備の仕方や戦術眼などに疑問符が付くようになったのだ。

 それでも、チッチの続投が国民の総意という雰囲気はあった。何より、16年6月コパ・アメリカ・センテナリオ(100周年記念大会)での早期敗退を受けてドゥンガが解任された際、急きょ監督に就任したにもかかわらず、鮮やかにチームを立て直し、W杯へ導いたことは記憶に新しい。そのチッチが4年の長期スパンで取り組めば、また違った結果を出してくれるのでは、という期待感もある。

 もちろん、チッチのやることすべてが絶賛されたW杯前のような空気はない。W杯後の親善試合では7勝1分け、16得点2失点と十分な結果を出しているが、試合内容についてなど常に何らかが不安視される。

W杯メンバー外から21人を招集

18年はパケタ(写真)ら新戦力を多く招集した 【写真:ロイター/アフロ】

 現在のチッチは、22年を見据えてチームの再構築を行っている。

「2018年内の優先順位は、チームのベースを維持しながら新たな選手たちにチャンスを与えるということだ。1月からは、コパ・アメリカの準備に全力を注ぐ。その次に、20年コパ・アメリカとW杯南米予選。その戦いを終えた21年には、おおよそのW杯のチームができ上がっているのが理想だ」

 その言葉通り、チッチは18年に行われた6試合のために合計40人を招集したが、その約半数の21人はW杯組ではない。さらにそのうち17人はチッチにとっての初招集、中でも9人はA代表初招集だった。「非常にポジティブな収穫を得られた」と語り、3月にもさらに4人を初招集した。

 その中には、今後も代表定着やスタメンを争うだけの活躍を見せ始めた選手たちもいる。FWのリシャーリソン(エバートン)やエベルトン(グレミオ)、MFのルーカス・パケタ(ミラン)やアラン(ナポリ)、DFのエデル・ミリトン(ポルト)あたりだ。過去にも招集されていたが、W杯出場につなげることができなかったMFアルトゥール(バルセロナ)のように、W杯後のセレソンで重要な役割を果たすようになった選手もいる。

 各ポジションに最低1人はW杯組を生かしながら、新メンバーを配置する方針を採っている。そのため、例えば両サイドバックのダニエウ・アウベス(パリSG)やマルセロ(レアル・マドリー)、MFのレナト・アウグスト(北京国安)やパウリーニョ(広州恒大)、FWのウィリアン(チェルシー)のように、これまでの主力であっても毎回招集するわけではない。しかし、招集しない時も常にコンディションをチェックし、場合によって本人やクラブとも連絡を取り合っている。

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