地力が反映されやすい今季のBリーグCS 実力拮抗の準決勝は第3戦が見どころに!?
Bリーグ初年度の開幕戦カードが再び
ホームの大歓声をバックに戦うことができる琉球 【(C)B.LEAGUE】
琉球は佐々宜央HCが2季目の指揮を執り、2季連続の西地区王者となっている。しかし今季のクォーターファイナルは、名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの初戦を53−69で落とした。第1クォーターは名古屋の強度が高い守備に圧倒され、第一クォーター終了時点で4−21という最悪のスタートだった。しかしそのような展開でも沖縄市体育館のブースターに罵声や後ろ向きの空気は一切なく、シュートが決まれば大歓声が沸いていた。
持ち味の泥臭い守備を取り戻した琉球は2戦目を77−53で取ると、第3戦も67−43と圧勝。守備力で名古屋を封じ、逆転勝ちを果たしている。第2戦は古川が3ポイントを5本決めて26得点を挙げている。古川は第3戦に厳しいマークを受けたが、この試合は岸本隆一が3ポイントを4本成功させて計16得点を決めた。
琉球のアウトサイドは誰が出てもクオリティー、守備の強度が落ちない。アウトサイドの選手層、ホームの大歓声を考えると、第3戦まで行けば琉球が有利だろう。
対するA東京は昨季のB1王者だ。ボールを持つ選手とスクリーナーの連係から2対2の局面を攻略する「ピック&ロール」はバスケの基本形だが、ルカ・パヴィチェヴィッチHCはこの形を緻密に浸透させている。足を置く場所、顔や体の向き、間合い、タイミングといったディテールを教えられているからこそ、A東京はこの形から相手の守備をたやすく攻略できる。
今季のA東京は東地区3位ながら、レギュラーシーズンは44勝16敗とリーグ全体で4位の勝率を残した。クォーターファイナルも、得点王・ダバンテ・ガードナーを擁し、リーグ戦は1勝1敗と決して得意とは言えない相手・新潟アルビレックスBBに連勝。シーズン中は田中大貴、馬場雄大、竹内譲次の3選手が日本代表の活動で抜けることが多く、チーム作りに苦しんだ。しかし大一番にしっかり合わせて来ている。
第3戦にもつれ込む確率が上がる準決勝
A東京は地区3位ながらリーグ全体4位の勝率。その実力をいかんなく発揮することができるか 【(C)B.LEAGUE】
昨季までは1勝1敗のタイになると、第2戦が終了した20分後から「10分間のショートゲーム」を行い、それを第3戦とする方式だった。旧bjリーグが採用していた方式を、Bリーグも取り入れていた。しかし今年は第2戦の翌日、もしくは翌々日に第3戦を行う方式に変わった。
今季のCSはゴールデンウィークと開催期間が重なり、移動手段や宿泊施設の確保、アリーナの確保などで各クラブの負担が大きかったとも聞いている。しかし第3戦のフルゲーム化は、間違いなく「プレイヤーファースト」の仕組みだ。
秋田ノーザンハピネッツ時代にたびたび10分ゲームを経験した田口成浩(現千葉)はこう説明する。
「あの10分ゲームは60試合やってこれで負けたら終わってしまう、1試合でなく10分で終わってしまうというプレッシャーがありました。レギュラーシーズンは長いですから、1試合で決められるようになって自分はすごく良かった」
富樫はこう述べていた。
「リーグ戦を見ても分かるように連勝は難しいので、実力がしっかり出るレギュレーションになったと思う。チームとしてそこには自信があるので、まず初戦を勝つことを意識してやっていきたい」
今季のCSは地力が反映されやすい仕組みになった。セミファイナルになれば実力はより接近し、第3戦にもつれ込む確率も上がる。それはファンにとっても、魅力的な大一番だろう。