愛くるしい勝負師・石川佳純 土壇場の度胸には水谷も舌を巻く

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石川佳純が持つギャップ

日本女子のエース石川。コートでは勝負師らしさが光る 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 人気という点で見ても、現在の卓球界において1番は石川佳純(全農)かもしれない。先輩の福原愛と同じように、若くして結果を残して注目を集め、愛くるしい笑顔に人はグッと惹きつけられる。アスリートに関するイメージ調査ランキングでも「好感の持てるアスリート」として度々上位にランクインするなど、そのキャラクターは卓球というスポーツの枠を越えて広く愛されている存在である。

 しかし、コートに入れば根っからの勝負師。そのギャップもまた彼女の魅力なのかもしれないが、石川のすごみは抜群の勝負強さと決断力にある。

試合が終わると愛くるしい表情に 【写真:田村翔/アフロスポーツ】

 シングルス初出場にして、いきなりベスト8まで勝ち上がった2009年の世界選手権個人戦。当時世界ランキング10位の帖雅娜(香港)に2回戦でゲームカウント0−3の3−9から敗戦間際まで追い込まれながらも大逆転勝利で勢いに乗って一気にベスト8入り。当時まだ16歳ながらゲームの流れをつかむセンスは際立っていた。

 全日本選手権で10度の優勝を誇り、リオデジャネイロ五輪でも団体、シングルスで2つのメダルを獲得した日本男子の大黒柱、水谷隼(木下グループ)も石川の勝負強さには一目置く。「引き出しも多いし、勝負所での思い切りの良さがある。話をしていても、負けず嫌いとか、勝利への執念のすごさを感じます」(卓球王国15年6月号対談)

 17年世界選手権個人戦の混合ダブルスで石川とペアを組み、世界チャンピオンに輝いた吉村真晴(名古屋ダイハツ)は、決勝の舞台で石川の指示に度肝を抜かれたという。決勝で陳建安/鄭怡静(チャイニーズタイペイ)にゲームカウントを2−3とリードされながら迎えた第6ゲーム、10−9の場面。レシーブの吉村に対して石川が出したサインは強気のフリックレシーブ。「オレ、絶対できない」と思ったという吉村に対し、「大丈夫。任せる」と石川。結局このレシーブが決まり、最終ゲームに持ち込んだ末に、日本にとって48年ぶりとなる世界選手権混合ダブルス優勝をもたらした。

 強気の選択で得点した後、「ビンゴ!」と言わんばかりに大きなガッツポーズを見せた石川。「石川さんの戦術がすごい。あれはすごかったです」(吉村)と男子選手ですら、その勝負強さには舌を巻く。
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