人気馬から穴馬まで狙ってOK! 重賞での前走1600万クラス組は見逃せない

JRA-VANデータラボ

平地重賞における前走1600万クラス出走馬について考察

 先日行われた阪神大賞典で2着に入ったカフジプリンスは、前走1600万クラスの尼崎Sで3着という実績だった。同馬は過去にダイヤモンドSや新潟記念で3着に好走した実績はあったものの、前走条件クラスに出走しており、形の上では格上挑戦。そのようなタイプはメンバー中この馬だけだった。

 そこで今回は平地重賞における前走1600万クラス出走馬について考えてみたい。まずは、今年1月から3月17日開催終了時点までの期間をレース対象とし、その後、別に2018年分のレースも分析する。なお、2歳・3歳限定戦は除くことにしている。データの集計・分析はJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

前走1600万クラスに出走し、平地重賞(3歳限定戦を除く)で好走した馬(19年)

表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 まずは今年の平地重賞で前走1600万クラスに出走し、好走した馬を調べてみることにする。冒頭に触れた阪神大賞典でのカフジプリンスが最新の例で、合計9頭が好走を果たしている。阪神大賞典は11頭立てで、なおかつ1番人気のシャケトラが人気を集めていたため、カフジプリンスは6番人気でも単勝オッズは20.3倍もついた。また中山牝馬Sで3着に入ったアッフィラートは11番人気で、明らかに人気薄の馬だった。このように単勝人気よりも5着順以上も上げて3着以内に入った馬としては、京都牝馬Sのアマルフィコーストや中山金杯のタニノフランケルも該当する。

 一方、上位人気で好走した馬も多数いる。東京新聞杯のインディチャンプや東海Sのインティは1番人気で1着となった。インティは周知の通り、その後G1・フェブラリーS優勝を果たしており、並の上がり馬ではなかったことがわかる。1600万クラス・観月橋Sでの勝ちっぷりも強く、同クラスでの勝ち方は、いきなり重賞で戦えるかの目安となるだろう。ただ、1600万クラスで2着や3着だった馬でも馬券になっており、勝ち馬だけに目を奪われると痛い目に遭う。負けていたにもかかわらず格上挑戦してくるからには陣営の自身もあるようで、穴にもなりやすいという現実がある。

2019年の平地重賞(3歳限定戦を除く)の前走クラス別成績

表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表2で示したのは2019年の平地重賞(3歳限定戦を除く)の前走クラス別成績。3月17日開催終了時点で前走1600万クラス組の成績は【2.2.5.15】。勝率8.3%、連対率16.7%はオープン特別組やG3組よりも上だ。複勝率37.5%は全クラスを通じてトップの成績。単勝回収率は17%でかなり低いが、複勝回収率は160%で優秀。単勝ではやや狙いにくいが、2、3着候補としてはかなり狙い目であることがわかる。

2018年の平地重賞(2・3歳限定戦を除く)の前走クラス別成績

表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 今年だけのデータでは少ないので、2018年のデータを見てみることにする。表3は2018年の平地重賞(2歳・3歳限定戦を除く)の前走クラス別成績だ。注目の1600万クラス組は【9.9.10.81】。勝率は8.3%、連対率は16.5%で表2の成績とほぼ同じだ。2019年の傾向・成績はここまでほぼ例年並みととらえることができる。複勝率は25.7%にとどまるものの、複勝回収率は103%。全クラスを通じて唯一100%を超えている。

前走1600万クラスに出走し、平地重賞(2・3歳限定戦を除く)で好走した馬(18年)

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 2018年に前走1600万クラスに出走し、平地重賞(2歳・3歳限定戦を除く)で好走した馬を具体的に見ていくことにする(表4参照)。まずは人気より5着順以上も上回って3着以内に好走した馬は、シリウスSのウェスタールンドや目黒記念のウインテンダネスなど10頭が該当した。レースの条件を見ると、10頭中7頭がハンデ戦に出走していた。また、10頭中2頭は牝馬限定戦だった。前述した2019年のケースもこの傾向に合致している。中山金杯はハンデ戦、中山牝馬Sはハンデ戦かつ牝馬限定戦、京都牝馬Sが牝馬限定戦だ。つまり、ハンデ戦か牝馬限定戦で大きな穴が生まれやすいというわけだ。逆に考えると、全性別が出走できる定量戦や別定戦で前走1600万クラス組の人気薄馬を狙うのは得策ではないと言えるだろう。

 定量戦や別定戦では違う狙い方がある。例えば、2018年の平地重賞で1〜5番人気の支持を受けた前走1600万クラス組を調べたところ【7.5.6.14】という成績だった。ステイヤーズSで2番人気2着のアドマイヤエイカンなど、表4では好走馬のみを記しているが、成績はかなり優秀であることがわかった。勝率は21.9%、連対率は37.5%、複勝率は56.3%という数字が出ている。また、単勝回収率は102%で、複勝回収率は121%だった。このように上位人気馬をすべて勝って回収率がプラスになるケースは、非常に稀だ。単純ながら前走1600万クラス出走馬ばかりを狙うのはかなり有効だし、レース条件によって狙い方を変えればさらに効率が良くなるはずだ。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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