中日、かつての本拠地・ナゴヤ球場に帰る 竜党の「聖地」でOP戦が行われた意義

阿佐智

最終試合は相手の「胴上げ試合」。今回も…

ナゴヤ球場でプロデビューをした与田監督は、見どころの少ない展開に渋い顔を浮かべる 【写真は共同】

 ネット裏記者席では、「一体ここの(1軍)最終試合はどうだったんだ?」という声が飛び交っていたが、この球場での行われた最後の試合は、96年10月6日の巨人戦だった。その2年前、勝った方がリーグ優勝という名勝負「10・8」を演じたライバル・巨人の胴上げを再度見せられるという残念な形で、中日は長らく使用してきたこの球場でのラストゲームを終えている。

 7日のオープン戦では、その悔しさを晴らすべく、寒空の中集まったファンも勝利を期待したが、打線が全く機能せず。6回2死まで1人のランナーも出すことなく、結果は4安打完封負け。ファンに勝利をプレゼントすることはできなかった。

 この球場でプロ生活のスタートを切った与田剛監督は試合後、久々の「聖地」での1軍ゲームに以下のようなコメントを残した。

「(オープン戦の)場所が変わったどうこうではないんだけど、個人的には自分のスタート地点なので思い入れはありましたね。そういう意味では、来てくれたファンに勝ちを見せたかったですね」

 大事な調整の時期にこの日のような底冷えの中で試合を行うなら、ドームを使用したいという気持ちもあるのではないか。だが、これについても指揮官は、プロである以上天候は関係ないという立場を示した。

「相手も同じ環境だから。それで打てなかったのは関係ないですね。もちろん寒さがプラスになったとは思わないけれど」

球団の歴史を振り返る恒例行事化を期待

 日本球界も近年ようやく、球団の歴史をレガシーとみなし、それを振り返るようになってきた。そして、昨今よく見られるオールドユニホームでのイベント試合の開催など、それをビジネスとして利用するようにもなってきている。

 収容人数がナゴヤドームに比べ圧倒的に少ないなど、この球場での1軍戦開催はビジネス的にはさほどプラスにはならないだろうが、球団の歴史を振り返るという意味で、この「ナゴ球クラシック」は今後も継続していってほしい。

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著者プロフィール

世界180カ国を巡ったライター。野球も世界15カ国で取材。その豊富な経験を生かして『ベースボールマガジン』、『週刊ベースボール』(以上ベースボールマガジン社)、『読む野球』(主婦の友社)などに寄稿している。

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