厚底vs.薄底 東京マラソンで履くならどっち? 箱根ランナーたちに聞くリアルな履き心地 ―ニューバランス編―

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 最近の陸上長距離界では厚底シューズが話題を集めていますが、薄底シューズも負けてはいません。シューズメーカー各社がしのぎを削り、最先端の技術を駆使した最新モデルが次々とリリースされています。

「東京マラソンでどのシューズを履くべきか……。どれも良さそうでわからない!」と悩んでいるみなさんへ、実際に各社のシューズを履いて箱根駅伝を走ったランナーたちの生の声をお届けします。

 今回は、今年の箱根駅伝で4区を走った石川佳樹選手(拓殖大学)に、ニューバランスのシューズのリアルな履き心地を聞きました。

シューズ職人・三村氏との出会いでつかんだ初めての感覚

――レース用シューズを選ぶポイントは?

 自分の考えですが、まずは軽さが一番。あとは、履いてみて自分にフィットしているかどうか。ニューバランスのシューズを履くまでは、自分に合っていると思えるシューズがなかったので、あまりこだわりがなかったんです。とにかく軽いのがいいという感じでした。

 以前、馬場祐輔先輩(4年)から「ニューバランスのシューズ職人・三村さんにシューズを作ってもらってから走れるようになった。記録が出るようになった」という話を聞いて、これはいいなということで自分も作ってもらおうと。三村さんに、自分の足に合うようにシューズを作ってもらい、本当に自分に合っているなと初めて感じました。

――実際に履いて走ってみた時の感触は?

 僕の足の形に合っていて、“シューズが足についてくる”というイメージですね。そこが一番驚いたところです。“シューズが足についてくる”とは、例えば、僕はいつも1周750メートルのロードで練習していて、1周するのにカーブが4回あります。今まで履いていたシューズだとサイズが自分の足と少し合っていなかったので、カーブの時にシューズと足がずれてしまう感覚があり、足に負担が掛かっていたんです。自分用に作ってもらったシューズを履いてからは、カーブの時に足がずれることなくしっかりと走れる感覚がありました。昨年11月の上尾シティハーフマラソンの前にこのシューズを使い始め、その時から箱根駅伝はこれで走ろうと決めていましたね。

――普段のシューズの使い分けは?

 自分は基本的に同じシューズをずっと履いていて、古くなったら変えるタイプです。ニューバランスの3種類のシューズを使用させていただき、それを試合用と練習用とで使い分けています。形や作りなど若干違うところはありますが、レーシング用もジョグ用も、履いてみるとどちらもすごく軽くて、自分でもどこが違うのかなと聞きたいくらい(笑)。でも、レーシング用のシューズの方が速く走れるのは間違いありません。

【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

自分の弱点を補えばもっと速く走れる

――石川選手の履いているシューズの特徴は?

 僕のシューズは三村さんに自分の足に合うように作っていただきましたが、シューズの裏は、そのシューズによって、その選手によっても違います。1月下旬に「栃木県郡市町対抗駅伝競走大会」に出場するために地元の栃木に帰省した時に、自分と同じチームの中央学院大学の選手から、「走れなくなって三村さんにシューズを作ってもらった」という話を聞きました。自分のこのシューズはジョグシューなんですけど、その人のシューズの裏とは違っていたんですよ。

――それぞれの足の形によって変えていると?

 足の形はもちろんですが、自分の走り方に合う作りにもしていただいています。また、自分の足りない補強すべき部分を三村さんに教えていただき、自分の努力でその足りない部分を補うことができればものすごく良くなるという話をお聞きして、いま補強しているところです。

――具体的に補強するべき点とは?

 バランスです。だいたいの人がそうだとは思いますが、片方の足の筋肉の方が強かったりすると、怪我につながることがあります。自分の場合は右足が全体的に弱かったんです。走り方の癖もあると思うので、そこを改善していきたいと思っています。

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熱心に走りこんでいる一般ランナーは定期的な買い替えをおすすめ

――実際にタイムは伸びましたか?

 1万メートルはしっかりと練習していなかった割に、自己ベストよりも速く走ることができて驚いたことがあります。あとは、もっとこのシューズでバランスの補強も兼ねて練習を積めば、もっと速く走れるという実感があります。上尾シティハーフマラソンでも結果を出すことができたので、さらに上のタイムを目指していきたいですね。

――足の疲労度という点に関しては?

 実際のレースでは、自分がどれだけ頑張るかで疲労の溜まり具合が違うと僕は思っています。シューズによって疲労感がなく走れるとかはないのかなと思います。このシューズを履いたから全然疲れないということは決してありません。長い距離を走ると、何かしら自分の弱いところに負担が掛かるものです。自分は足底が弱く、このシューズを履いていてもダメージを負う時もありますが、その他はほとんどありません。

――最後に一般ランナーに向けて、シューズ選びのアドバイスを。

 たくさんのシューズを実際に履いてみて、時間を掛けてしっかりと自分に合ったシューズを探していくのが一番いいのかなと思います。また、僕らは1カ月に700〜800キロを走るので、どんどんシューズの底がすり減っていきます。底がすり減ったまま走ると、ものすごくツルツルして滑ります。雨の日は危険ですし、故障につながることもあります。毎日熱心に走りこんでいる一般ランナーの方は、定期的な買い替えをおすすめします。

【写真:長田洋平/アフロスポーツ、スポーツナビDo】

厚底vs薄底 東京マラソンで履くならどっち? 箱根ランナーたちに聞くリアルな履き心地
第4回:アディダス編(2月28日掲載予定)
第5回:ナイキ編(3月1日掲載予定)
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著者プロフィール

習慣的にスポーツをしている人やスポーツを始めようと思っている20代後半から40代前半のビジネスパーソンをメインターゲットに、スポーツを“気軽に、楽しく、続ける”ためのきっかけづくりとなる、魅力的なコンテンツを提供していきます。

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