異色プロレス「マッスル」とは? 山里、クロちゃん、純烈ら出演で16日復活

高木裕美

南海キャンディーズ・山里亮太(下)がゲストとしてプロレスの舞台に帰ってくる(写真は14年8月のDDT両国大会) 【写真:前島康人】

 DDTプロレスリングの別ブランド「マッスル」が復活。16日に東京・両国国技館で「マッスルマニア 2019 in 両国〜俺たちのセカンドキャリア〜」を開催する。

 そもそも「マッスルって何?」という方には、まずはマッスルの元ネタ、「ハッスル」について解説せねばならるまい。ハッスルは「ファイティング・オペラ」と名づけられた驚愕のストーリー展開を売りに、04年1月4日にさいたまスーパーアリーナで旗揚げ。“エロテロリスト”インリン・オブ・ジョイトイ扮するインリン様のM字ビターンに男性客が熱狂した。また、05年11.3「ハッスル・マニア2005」(横浜アリーナ)では、狂言師の和泉元彌、タレントのレイザーラモンHGがプロレスデビューし、ワイドショーを賑わせた。だが、金銭トラブルなどにより、09年10.10「ハッスル・ジハード2009」(両国国技館)を最後に興行中止に追い込まれている。

 一方、マッスルは、ハッスルのロゴマークやポーズを大胆にパクったパロディーとして04年10月13日、東京・北沢タウンホールで旗揚げ。「笑ってはいけない」「笑点」「フィギュアスケート」などを大胆にアレンジした、あり得ない勝負スタイルは、「プロレスの向こう側」「行き過ぎたファンタジー」とも言われ、サブカル業界からも熱い注目を集めた。しかし、プロデューサー・マッスル坂井が家庭の事情により引退し、地元・新潟県に帰ることになったため、09年5.4「マッスルハウス10〜負けるから即引退させてくれSP〜」(後楽園ホール)で一旦はフィナーレを迎えた。

「ハッスル」と「マッスル」の違い

 ハッスルとマッスルの違いは何か? 現代風に例えるなら、ハッスルが「ハズキルーペ」、マッスルが「カメラを止めるな」である。昨年、ネットを賑わせたハズキルーペのCMでは、ハリウッドスターの渡辺謙や菊川怜らが出演。尻でメガネを踏む演出や意味深なセリフ、会社のCEOが暴露した高額なCM出演料(渡辺謙が2億円)などが話題となった。一方、「カメラを止めるな」は監督・出演者共に無名の超低予算ゾンビ映画。だが、指原莉乃、斎藤工ら映画を観た有名人がSNSでその衝撃を拡散したことで話題が沸騰した。

 ハッスルには高田延彦、川田利明、天龍源一郎といったそうそうたるレスラーが登場し、奇想天外な人間関係を構築。グレート・ムタがインリン様の股間に毒霧を噴射し、妊娠。曙そっくりなボノちゃんが誕生したりするのである。

 対するマッスルは「汁レスラー」扱いされる、寄せ集めの脇役ばかり。なお、過去には鈴木みのる、棚橋弘至といった大物も登場しており、棚橋はDDT参戦時の問題発言について「煽りパワポ」(パソコンソフトによるプレゼン)で公開謝罪。団体対抗戦やマイクアピールといった「プロレス的」ではない、新たな解決法を知らしめた。

 当初、「2030年の復活」を約束しながら、まるで大仁田厚の引退のごとく、なし崩し的に単発興行をしているマッスルだが、今回の「マッスル・マニア」では、大会場にふさわしく、豪華ゲストが参戦。なんと、今、世間を賑わせ続けている、ムード歌謡グループ「純烈」と、炎上キャラの安田大サーカス・クロちゃんが登場するのだ。

 昨年の「紅白歌合戦」出場と、その後のスキャンダル報道で、一躍名が知れ渡った純烈だが、以前からのマッスルファン、DDTファンにはすでにおなじみの存在だろう。純烈リーダーの酒井一圭は、05年からマッスルのリングに上がっており、当時のリングネームは「酒井一圭HG」。本家HGより一足先に、ハードゲイのコスチューム姿で戦うというスタイルを披露していた。

炎上タレントから“パンダ”まで幅広い出演陣

 09年のマッスル終了と同時にプロレスを引退した酒井だが、13年5月に東京・大田区の宮地鉄工所で行われた「工場プロレス」では、純烈メンバーと共にミニライブに登場。ライブ中に高木三四郎に襲われ、そのままメンバーも巻き込んでの路上プロレスに突入した。

紅白出場から鉄工所プロレスまで、活躍の場を広げる純烈 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 元大相撲出身の白川裕二郎が高木と相撲を取れば、他メンバーは男色ディーノの男色ナイトメア(股間が顔面に迫る技)やファイナル・ナイトメア(顔面に尻を押し付ける技)のエジキに。最後は酒井がディーノの漢タイツを着用しての男色ドライバー(タイツの中に相手の頭を押し込んでのパイルドライバー)で試合に勝利。同年8.17両国国技館大会への参加が認められ、当日は5人でライブを行っている。

 なお、「百獣戦隊ガオレンジャー」出演の酒井は、4児の父でもあることから、5児の父のつるの剛士(ウルトラマンダイナ)、4児の父の杉浦太陽(ウルトラマンコスモス)に続く「特撮出身のイクメンパパ」のポジションも見えてくるが、過去には「ハードゲイコスチュームに抱っこひもで赤ん坊(実子)を抱えた状態のまま戦った」こともあるだけに、くれぐれも主婦層の反発には要注意である。

 また、メンバーの小田井涼平はタレントのLiLiCoと昨年結婚したが、LiLiCoもまた、15年8月にDDTマットでデビューし、アイアンマンヘビーメタル級やEXTREME級王座などを巻いた立派なプロレスラー。16年には20歳年下のDDT所属レスラー・渡瀬瑞基との熱愛・破局もあった。最近は純烈メンバーの「過去」探しが過熱しているが、DDTマットは宝の山である。

 一方、クロちゃんはと言うと、「水曜日のダウンタウン」などで見せた、女性へのクズっぷりや嘘ツイートなどにより、炎上キャラとして定着。昨年12月には、番組の企画で檻に入れられたクロちゃんを見るため、夜中のとしまえんに客が殺到する騒動に発展した。この風潮に、一部報道では「クロちゃんになら、何をやっても許されるのか」と、まるで前田日明によるアントニオ猪木批判のような言葉(意味は逆だが)まで飛び出しており、世間からの「クロちゃん叩き」はエスカレートするばかりだ。

 14年8.27DDT両国大会では、南海キャンディーズの山ちゃんこと山里亮太が肛門爆破の悲劇に見舞われたが、もし今回、仮にクロちゃんがエジキになった場合、「炎上フィルター」によって、こちらにまで火の粉が降りかかってくる可能性もある。

 さらに今大会には、ネットで人気を博している“超大物レスラー”アンドレザ・ジャイアントパンダの参戦も決定。かつて「奇想天外なあり得なさ」が売りだったマッスルだが、SNS全盛のこの時代に、どんな切り口で世間に挑んでいくのだろうか。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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