連載:キズナ〜選手と大切な人との物語〜

アルバルク東京・馬場雄大の原点 豪快ダンクは父との特訓から生まれた

矢内由美子

息子のリングジャンプを見てダンクを期待

馬場の代名詞でもある豪快なダンク。父の教えで武器を身につけた 【Getty Images】

 雄大が言う。

「ボールを持てるようになってからも(叩きつけるときに)リングに手が当たるので、いつも指を血豆で真っ赤にさせながらやっていましたね。最初はたまに調子の良いときに(ダンクが)できるくらいでしたが、高校に入る直前くらいには当たり前に入るようになっていました。あの時間のことは今でも鮮明に覚えています」

 敏春さんにも当時のことを聞いた。

「雄大が中3のときのマンツーマン練習で、まず最初にリングジャンプを見たときに、これはもしかしたらダンクができるんじゃないかと思いました」

 身長184センチは、並外れたジャンプ力がないとリングの上からボールを叩きつけることができないサイズだ。当時の雄大は中学生。筋肉がしっかりついていく時期はまだまだ先だった。しかし、元日本代表選手の敏春さんの目は確かだった。

「なぜできると思ったのかは分からないのですが、自分の経験から来るインスピレーションですね」

 こうして始まったのが、“ダンク10本練習”である。それにしても、中学3年生という早い時期にダンクの練習に取り組ませたのはなぜだったのだろうか。雄大が父の考えを理解する秘密は、敏春さんの大学時代に隠されていた。

<後編に続く>

(企画構成:SCエディトリアル)

【佐野美樹】

馬場雄大(ばば・ゆうだい)
1995年11月7日生まれ。富山県出身。アルバルク東京。スモールフォワード。背番号6。198センチ/90キロ。富山第一高校時代は、元バスケットボール選手であり、コーチでもあった父親のもとでプレーし、2度のウインターカップに出場。筑波大学に進学後、インカレ3連覇に貢献すると、2017年には大学在学中ながらアルバルク東京と契約した。その2017−18シーズンは1試合平均8.5得点をマーク。今季は1試合平均10.6得点を記録している(2月10日現在)。Bリーグオールスターでは2年連続ファン投票1位に輝き、2017年2月に日本代表デビュー。豪快なダンクシュートを武器とする若手選手として、さらなる活躍が期待されている。

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著者プロフィール

北海道生まれ。北海道大卒業後にスポーツニッポン新聞社に入社し、五輪、サッカーなどを担当。06年に退社し、以後フリーランスとして活動。Jリーグ浦和レッズオフィシャルメディア『REDS TOMORROW』編集長を務める。近著に『ザック・ジャパンの流儀』(学研新書)

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