連載:キズナ〜選手と大切な人との物語〜

アルバルク東京・馬場雄大の原点 豪快ダンクは父との特訓から生まれた

矢内由美子

バスケ選手だった父のフォームに見とれて

A東京で活躍する馬場雄大は、2017年に日本代表入りし、着実にステップアップしている 【佐野美樹】

 1976年モントリオール五輪以来となる五輪出場を、2020年の東京五輪で実現させようと意気込む男子バスケットボール日本代表。東京五輪出場に大きく影響を及ぼすワールドカップ2019アジア地区2次予選(Window6)のラスト2試合が、2月21日(イラン戦)と、24日(カタール戦)に行われる。その重要な試合に向けて士気を高めている日本代表の中で、昨年から急成長を遂げているのが、23歳の馬場雄大(アルバルク東京)だ。
 かつて実業団の三井生命で活躍した元日本代表プレーヤー・馬場敏春さんを父に持つ雄大は、バスケットボール選手としては大柄と言えない198センチの身長でありながら、恵まれた運動センスを活かした豪快なダンクシュートでファンを沸かせ、Bリーグオールスターでは2年連続でファン投票1位に輝いている人気選手でもある。

 富山第一高校時代は、同校でコーチを務めている父・敏春さんと「コーチと選手」という関係で3年間を過ごした経験もある。

「父は僕に夢を与えてくれた人」(雄大)、「親子でありながら、友達のような関係」(父・敏春さん)と表現し合うふたりをそれぞれ取材し、バスケットボールを軸とする“父子”日本代表のキズナに触れさせてもらった。

馬場は日本代表の一員として、W杯出場を目指すアジア地区2次予選でも大役を担う 【中村博之】

 雄大が生まれたのは1995年11月7日、富山市。32歳まで三井生命でプレーした後に現役を引退した敏春さんが、社業に専念していた時期のことだった。馬場家はその後、敏春さんの転勤によって埼玉県草加市に転居。雄大は小学1年生になると、3歳上の姉が先に通っていたミニバスチームに入り、バスケットボールを始めた。

 そのミニバスチームでは、敏春さんが会社の終業後や休みの日に、コーチとして女子チームを指導していた。隣のコートでやっている息子も目の届く範囲にいる。しかし、「雄大」という名前に「伸び伸びと大きく、自由奔放に育ってもらいたい」という願いを込めている敏春さんが、息子に対して強制的にあれこれ言うことはなかった。

「人生は一度しかない。いろいろな選択肢を与えて、やらせてあげることが親。押さえつけるのは子どものためになりません」

 これが敏春さんのモットーだ。

 それでも雄大の目には自然と父の姿がまぶしく映っていた。

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著者プロフィール

北海道生まれ。北海道大卒業後にスポーツニッポン新聞社に入社し、五輪、サッカーなどを担当。06年に退社し、以後フリーランスとして活動。Jリーグ浦和レッズオフィシャルメディア『REDS TOMORROW』編集長を務める。近著に『ザック・ジャパンの流儀』(学研新書)

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