監督・主演メイウェザー 日本中が踊らされた巧みな自己演出
メイウェザー劇場の封切りは参戦前から
試合前の不遜な態度から一転、気づけば相手を称える。これもメイウェザー劇場 【Getty Images】
「ハッピーニューイヤー!」
年をまたぎ行われた会見で、メイウェザーは「繰り返しますがこれはエンターテインメント。天心選手はまだ若いライオンで、素晴らしいチャンピオン。まだまだ成長する余地はたくさんあります。今回の戦いは記録に残らないし、これからも頑張ってほしい。私と一緒にリングへ上がってくれた彼に敬意を表したい」とコメント。
試合前の不遜な態度から一転、気づけば相手を称える、いつもの“メイウェザー劇場”が繰り広げられていた。だが、それはこの会見から始まった訳ではない。思えば11月5日に行われた発表会見、もっと言えば対戦交渉の段階から、この“監督・主演メイウェザー”というべき、メイウェザー劇場は幕を切っていた。
発表会見中のワンシーン。試合当日まで本人の思うがままにスケジュールが変更された 【赤坂直人/スポーツナビ】
発表直後の出来事であり、結果的にプロモーションを進める形となったが、はたしてこれも興行を盛り上げるメイウェザー一流のやり方であったのか。純粋に契約における意思疎通の齟齬(そご)であったにせよ、その言動がより興行を“売る”方向へ導いてしまうのは、やはり“MONEY”を異名に持つメイウェザーたるところなのかもしれない。
12月に入りラスベガスで行われた会見でもメイウェザーは平然と1時間も遅刻。謝罪の言葉もなかったといい、いざ会見が始まると自論を一方的に展開する独演会状態。言いたいことを言い終えると、ここも自分のタイミングで会場を後にした。