朝日杯FSは牝馬に不利なデータ アドマイヤマーズを最上位と見る
前走重賞からの好走馬
表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
前走重賞以外からの好走馬
表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
その他、表では挙げなかった要素も含め、前走クラスを問わず好走馬の共通点を探ると、阪神開催の朝日杯FSを勝った4頭はいずれも前走、芝1600m以上のレースを2番人気以内で優勝していた。そして3着以内全12頭は前走が10月以降、キャリアは4戦以内だった。前走が9月だった馬は【0.0.0.4】(8月以前は該当なし)、キャリア5戦以上の馬は【0.0.0.14】に終わっている。
牡馬相手の2歳G1で3着以内に好走した牝馬(1986年以降)
表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
また、JRA-VAN Data Lab.でデータが提供されている1986年以降、牡馬相手の2歳G1に出走した牝馬は【0.2.1.18】で複勝率14.3%、複勝回収率は22%止まり。好走した3頭は表7の通り、当該レースで1〜2番人気、そして既に牡馬相手の重賞勝ちを記録していた。ただ、いずれも牝馬限定の2歳G1(阪神3歳牝馬S、阪神JF)が行われるよりも前の好走だ。
結論
一方のグランアレグリアも、前走が休養明けだった点はアドマイヤマーズと同様で、こちらも前走1着なら不安なし(表5)。しかしもうひとつ、牝馬という点が非常に大きな問題になる。ただ、一昨年、牝馬限定戦で2戦2勝だったミスエルテとは違い、本馬は2戦とも牡馬相手で前走は重賞勝ち。かなり古い好走例とはいえ、表7の条件はクリアする。また、勝ち馬を輩出している前走・サウジアラビアRC組(表4)、好走馬の多い前走「先行」(表3)。そして過去4年で3勝を挙げたディープインパクト産駒が、今年は本馬1頭のみと、プラス材料も多い。性別さえ問わなければ、むしろこちらが上位とも考えられる。
もう1頭、穴の1着候補としてマイネルサーパスも挙げたい。前走からの間隔などには表6の各馬と違いもあるが、2連勝で、前走は芝1600m以上(芝1800m)での差し切りなど、1着候補となる条件や、前走重賞以外からの好走条件を満たす部分も多い。高複勝率を記録する、前走上がり1位馬という点も好材料だ(表3)。
1600m以上での優勝経験がない2〜3着候補としては、3戦3勝のファンタジスト、前走東京のレースで上がり1位(表3本文)を記録したドゴールあたり。また、2桁人気の好走馬3頭は、前々走で芝1400m戦を制していたため(うち2頭はオープン特別)、キャリアなどには難があっても、前々走でききょうSを制したイッツクールが波乱の立役者となる可能性もありそうだ。
文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。