アーモンドアイはジェンティル級か!? JC過去10年データから好走期待馬を探る

JRA-VANデータラボ

ジャパンカップの種牡馬別成績(過去10年)

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は種牡馬別成績。出走数最多のディープインパクト産駒が最多の3勝をあげているが、その3勝は12・13年連覇のジェンティルドンナ、15年ショウナンパンドラとすべて牝馬による勝利だった。キングカメハメハ産駒は10年ローズキングダムが勝利。今回はルーラーシップ産駒キセキ、ロードカナロア産駒アーモンドアイが、祖父にキングカメハメハを持つ馬として出走する。ハーツクライ産駒は14年2着ジャスタウェイ、一昨年3着・昨年1着シュヴァルグランが好走。この2頭はともに3歳クラシックでの好走がなく、古馬になって高い能力を発揮するようになったタイプだ。

3歳時のジェンティルドンナとアーモンドアイの比較

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は3歳時にオルフェーヴルを破って勝利したジェンティルドンナと今回のアーモンドアイの戦績をまとめたもの。ジェンティルドンナとアーモンドアイの共通点は、新馬戦で敗れて2戦目で初勝利。シンザン記念で重賞初制覇を飾り、目下重賞4連勝中、という点が挙げられる。

また、両者ともオークスを2分23秒台の速い時計で勝利している。勝ち時計ではジェンティルドンナが0秒2速いものの、アーモンドアイは上がり3ハロンで1秒上回っていた。どちらも桜花賞からの距離延長が不安視されていたが、まったく問題なく快勝している。ジェンティルドンナは近年でも最強レベルのオルフェーヴルを破っており、同じレベルと見ればアーモンドアイは初の古馬相手でも当然勝ち負けになる公算が高い

日本ダービー連対馬の古馬になってからのJC成績(過去10年)

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は過去10年の日本ダービー連対馬の古馬になってからのジャパンカップでの成績一覧。勝利したのは14年エピファネイアのみで、勝ち切るのが難しいことを示している。また12年2着オルフェーヴル、08年3着ウオッカも4歳時だった。日本ダービー時に高いパフォーマンスを見せていた馬が古馬になって成長もしくは能力を維持するのは難しいといえそうだ。

ジャパンカップの騎手所属別成績(過去10年/日本馬のみ)

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後に表8は日本馬に騎乗した騎手の所属別成績。M.デムーロ騎手・ルメール騎手を含む栗東所属の騎手が一昨年キタサンブラックの武豊騎手ら過半数の7勝をあげており、連対率・複勝率ともに高い。対して、美浦所属の騎手は勝ち星がなく、連対率・複勝率ともに低い。

 ただし、栗東所属の騎手を上回るのが外国人騎手。昨年のシュヴァルグランに騎乗したボウマン騎手ら3勝をあげ、複勝率42.9%と非常に高い。近5年でも一昨年を除いた4年で3着以内に入っており、外国人騎手が騎乗する日本馬は今年も注目だ

結論

表9 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 今年の出走予定馬は表9のとおり。
 
 1番人気が想定されるのはアーモンドアイ。表6で示したジェンティルドンナとの比較でも見劣るところはなく、同レベルの能力ならば完勝できるだろう。53キロの斤量も有利で、状態さえまともならば古馬相手でもまったく問題ない。勝利に最も近い存在といえる。

 人気で続くのが京都大賞典で久々の勝利を飾ったサトノダイヤモンド、天皇賞・秋大敗からの巻き返しを狙うスワーヴリチャードの2頭だろう。ただし、表7で示したように日本ダービー連対馬の古馬での成績が芳しくなく、特に好走がない5歳サトノダイヤモンドには厳しいと見る。スワーヴリチャードは前走スタートでの不利が大きかったが、近2走は東京コースで勝ち切れていない。常にスタートでの不安があり、巻き返しは微妙なところだ。

 上記以外ではシュヴァルグランを推奨しておきたい。昨年の覇者ながら前走の京都大賞典4着で人気を落としそうだ。休み明けは走らない傾向にあり、今年の春も大阪杯13着から天皇賞・春で2着と好走している。日本人騎手から外国人騎手への乗り替わりで好走する傾向がある馬で、今年もここが勝負どころと見る。他では前走天皇賞・秋上位のキセキを連下候補に挙げておきたい。

 サトノクラウンは休み明けで状態に不安が残り、2走前の凱旋門賞5着のカプリも日本の速い芝への対応が未知数で近年の傾向どおり軽視したい。

文:ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。

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