紀平と宮原は「敵ではなく良いライバル」 試合前、濱田コーチが2人に話した言葉

沢田聡子

刺激を受け合う2人が日本女子をさらなる高みへ

一緒に練習する紀平からも刺激を受けているという宮原。2人の良いライバル関係はこれからも日本女子のレベルを引き上げていくはずだ 【坂本清】

 メダリスト会見で、ライバルと一緒に練習することについて質問された紀平は、次のように答えている。

「宮原選手のことは本当に尊敬しているし、いつも見習ってばかりで、本当に良い環境で見ていただいていると強く思います。コーチも『敵ではなく良いライバル』というふうに言ってくださっていて、すごく良い環境でいつも練習しているので、感謝したいです」

 宮原も続いてこう話した。

「私も本当に良い環境で、普段の練習からたくさんの刺激を受けることができているので。もっともっと頑張らないと、という気持ちを忘れずに、日々練習することができています。一緒に練習している紀平選手や、他の強い選手から、自分にはない良さを見て勉強したり、自分のものにできるように見たりしています。コーチからも『それぞれの選手の良さを盗んで、勉強して、自分の足りないところを補うようにしていったらいいと思う』と言っていただいています」

 濱田コーチは言う。

「ライバルは大事です。エネミー(敵)じゃない、ライバルは大事。自分にとってすごく大事なので、大切にしなさいと私は言っています。良い選手を育てるには、良きライバルが必要です。『相手を尊重して、大切にしなさい』と言ってあります」

 表彰式後の囲み取材で、宮原は紀平と表彰台に上り、銀メダルを受け取ったことについて前向きに語っている。

「悔しい気持ちはありますけれど、『まだまだ自分も頑張らないといけない』という刺激を受けたので、また一緒に頑張りたいと思います」

 トリプルアクセルという大技だけでなく、表現面を含むすべての要素において優れた素質を持つ紀平と、たゆまぬ努力で日本のエースとなるまでに自らの滑りを磨き上げてきた宮原。その競り合いは、これからも日本女子のレベルを引き上げてくれるだろう。

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著者プロフィール

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(アーティスティックスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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