平穏な日々を送ることができないレアル 暫定監督に求められる使命とは

モチベーションを失いつつある主力選手たち

サンティアゴ・ソラーリ暫定監督は、選手たちに新たなモチベーションを与えられるか 【写真:ロイター/アフロ】

 ペレスはロペテギを解任した後、5年前から下部組織で経験を積んできたサンティアゴ・ソラーリを暫定監督に据えた。ジダンの辞意を渋々受け入れた5月の時点では、全く選択肢になかった彼を今更選んだ理由の1つには、彼がレアル・マドリー・カスティージャで指導していたFWヴィニシウス・ジュニオールにトップチームで出場機会を与えたいという意思も含まれている。

 ユベントスへ移籍した後もゴールを決め続けているFWクリスティアーノ・ロナウドは、レアル・マドリーでは大切に扱われていなかったと繰り返し主張している。GKケイラー・ナバスはCL3連覇の立役者の1人であるにも関わらず、同じGKのティボー・クルトワが加入したことにより、半ば自動的にラ・リーガの先発から外された。

 ザ・ベストに選ばれたモドリッチはなぜ移籍を望んだのか。なぜ復帰から3戦連続でゴールを決めたDFマルセロが、ゴール裏の一部ファンに指笛を吹かれなければならなかったのか。外野から見て取れるのは、ペレスがただ新しくしたいという理由だけでチームの刷新を押し進めようとしており、それに多くの選手が反感を抱いていることだ。

 企業の経営においては、常に新たな従業員の補充を考える必要があるのかもしれない。だがフットボールクラブに同じ理屈は通用しない。過去に同じ過ちを犯しているペレスはそのことを知っているはずだ。

 ソラーリに課された仕事は困難だ。彼は全てを勝ち取った選手たちが他クラブに気移りしないよう、新たなモチベーションを植え付ける必要がある。そしてペレスが長い迷走期をもたらした2003年の過ちを繰り返さぬよう、早急にチームを立て直さなければならない。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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