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堂安律、圧巻のクオリティーを見せつける
「毎試合これをしないと意味がない」

チームに自信を宿すスーパーゴール

エクセルシオール戦で10試合ぶりのゴールを決めた堂安。左足でのボレーシュートは“難易度S”のスーパーゴールとなった
エクセルシオール戦で10試合ぶりのゴールを決めた堂安。左足でのボレーシュートは“難易度S”のスーパーゴールとなった【写真は共同】

 堂安律の10試合ぶりのゴールは、“難易度S”のスーパーゴールだった。11月2日、フローニンゲンは敵地でエクセルシオールに4−2で勝利した。


 ミモウン・マヒと堂安律のダブルエースが、チームを引っ張った。26分、MFリュドヴィート・ライスの右からのクロスをマヒがトラップからの反転シュートを決めれば、29分には堂安が左サイドからのクロスが相手DFに当たって浮き上がったボールを、トラップからターンしてシュートを決めた。


 滞空時間の長い浮き球が落ちてくる間、堂安は密着マークの左サイドバック(SB)ロレンツォ・ブルネットをブロックし、自分の空間を作って左足インサイドでトラップ。この瞬間、ブルネットが堂安の反転と逆に動いてしまい、堂安にシュートコースが生まれた。あとは左足を振り切るだけ。ボレーシュートが右隅に決まった。


「体の預け方がうまかった。後ろにDFがいたのも感じながら。そこからはイメージですよね。技術というより、ここに置いて振るというイメージが頭の中にあったので、ストライカーになったような気分でした」


 前節(10節)までフローニンゲンのゴールはわずかに6点だけだった。1試合2得点というゲームもなかった。そんな貧攻のチームに、堂安とマヒのゴールで自信が宿った。

マヒと「俺らはできる」

 2−1、フローニンゲンが1点のリードで後半が始まると、51分にマヒが頭で落としたボールを、FWマテオ・カシエラが美しいカーブを描くミドルシュートで3−1。75分には右SBデヨファイシオ・ゼーファイクの獰猛なサイドアタックからのクロスを、FWヤニック・ポールが蹴り込んで、4−2とした。FWながら、カシエラもポールも、今季初ゴールだった。


「俺とマヒがチームに自信を付けさせないといけないと思ってます。正直、自信のない選手が多いので、俺とマヒで『俺らはできる』というのを見せてから、後半も良くなった。俺とマヒはそういう話を、試合前にずっとずっとしてました」


 試合が終わり、満面の笑みでロン・ヤンス(テクニカル・マネジャー)が姿を表わす。


「長いこと勝ててなかったから、より今日の勝利はうれしい」


 フローニンゲンにとっては、8月25日、デ・フラーフスハップ戦以来の勝利だったのだ。


――堂安のなんというトラップ(オランダ人記者)


「2点目をとらなきゃ(笑)」


 同じ頃、公共放送『NOS』では、解説者のダニエル・デ・リッダーが「堂安がこの試合のナンバーワン・プレーヤーだった」と褒めたたえていた。

相手の考えがわかるようになってきた

感覚的なものとはいえ、相手の先の先まで読めるような余裕を今は持てているという
感覚的なものとはいえ、相手の先の先まで読めるような余裕を今は持てているという【写真は共同】

「試合前、(デニー・バイス)監督から『おまえのクオリティーを見せてやれ』と言われてました」と堂安。「見せてやりました、という感じです」。


 それは、あの素晴らしいゴールシーンのことを指すのだろうか。


「ゴールシーンというより、後半のドリブルとか。チャンスはほとんど俺のところからできていました。毎試合、これをしないと意味がないなと思います」


 確かに、この日の堂安はボールタッチの感触、ピッチの上に生まれたスペースの把握、相手DFとのボディコンタクトの強さ、ドリブルの推進力など、1つのプレーにいくつもの要素が絡まりあった、高いクオリティーのプレーを連発していた。エクセルシオール戦の堂安はマーカーを1人剥がすどころか、2人、3人をかわしきり、その先に生まれるスペースを享受していたのだ。


「(マーカーを剥がすのが)楽しいです。『削りに来る』『飛び込みに来る』『ああ、こいつ待とうとしてるなあ』とか、相手の考えが分かるようになってきました。相手が待とうとしたらボールを運べるし、相手が飛び込んで来たら剥がしにいける。相手の先の先まで読めるような余裕を今は持ててます。それは0.01秒ぐらいの感覚だと思いますけれど、言葉で表せない感じです」


 90分、堂安がMFアーマド・メンデス・モレイラに代わりベンチに下がる。アディショナルタイムは6分だ。堂安にとっては今季、カップ戦も含めて初めての途中交代だった。その交代が90分というのもすごい。バイス監督からの堂安への信頼を感じる。


 交代直後のベンチ前では、こんなやり取りがあったという。「監督から『2点目をとれよ』と言われました。そこは自分の力不足なので、練習します」。堂安は現状に満足することなく、さらなる成長を目指していく。

中田徹
中田徹
1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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