堂安律、圧巻のクオリティーを見せつける 「毎試合これをしないと意味がない」
チームに自信を宿すスーパーゴール
エクセルシオール戦で10試合ぶりのゴールを決めた堂安。左足でのボレーシュートは“難易度S”のスーパーゴールとなった 【写真は共同】
ミモウン・マヒと堂安律のダブルエースが、チームを引っ張った。26分、MFリュドヴィート・ライスの右からのクロスをマヒがトラップからの反転シュートを決めれば、29分には堂安が左サイドからのクロスが相手DFに当たって浮き上がったボールを、トラップからターンしてシュートを決めた。
滞空時間の長い浮き球が落ちてくる間、堂安は密着マークの左サイドバック(SB)ロレンツォ・ブルネットをブロックし、自分の空間を作って左足インサイドでトラップ。この瞬間、ブルネットが堂安の反転と逆に動いてしまい、堂安にシュートコースが生まれた。あとは左足を振り切るだけ。ボレーシュートが右隅に決まった。
「体の預け方がうまかった。後ろにDFがいたのも感じながら。そこからはイメージですよね。技術というより、ここに置いて振るというイメージが頭の中にあったので、ストライカーになったような気分でした」
前節(10節)までフローニンゲンのゴールはわずかに6点だけだった。1試合2得点というゲームもなかった。そんな貧攻のチームに、堂安とマヒのゴールで自信が宿った。
マヒと「俺らはできる」
「俺とマヒがチームに自信を付けさせないといけないと思ってます。正直、自信のない選手が多いので、俺とマヒで『俺らはできる』というのを見せてから、後半も良くなった。俺とマヒはそういう話を、試合前にずっとずっとしてました」
試合が終わり、満面の笑みでロン・ヤンス(テクニカル・マネジャー)が姿を表わす。
「長いこと勝ててなかったから、より今日の勝利はうれしい」
フローニンゲンにとっては、8月25日、デ・フラーフスハップ戦以来の勝利だったのだ。
――堂安のなんというトラップ(オランダ人記者)
「2点目をとらなきゃ(笑)」
同じ頃、公共放送『NOS』では、解説者のダニエル・デ・リッダーが「堂安がこの試合のナンバーワン・プレーヤーだった」と褒めたたえていた。
相手の考えがわかるようになってきた
感覚的なものとはいえ、相手の先の先まで読めるような余裕を今は持てているという 【写真は共同】
それは、あの素晴らしいゴールシーンのことを指すのだろうか。
「ゴールシーンというより、後半のドリブルとか。チャンスはほとんど俺のところからできていました。毎試合、これをしないと意味がないなと思います」
確かに、この日の堂安はボールタッチの感触、ピッチの上に生まれたスペースの把握、相手DFとのボディコンタクトの強さ、ドリブルの推進力など、1つのプレーにいくつもの要素が絡まりあった、高いクオリティーのプレーを連発していた。エクセルシオール戦の堂安はマーカーを1人剥がすどころか、2人、3人をかわしきり、その先に生まれるスペースを享受していたのだ。
「(マーカーを剥がすのが)楽しいです。『削りに来る』『飛び込みに来る』『ああ、こいつ待とうとしてるなあ』とか、相手の考えが分かるようになってきました。相手が待とうとしたらボールを運べるし、相手が飛び込んで来たら剥がしにいける。相手の先の先まで読めるような余裕を今は持ててます。それは0.01秒ぐらいの感覚だと思いますけれど、言葉で表せない感じです」
90分、堂安がMFアーマド・メンデス・モレイラに代わりベンチに下がる。アディショナルタイムは6分だ。堂安にとっては今季、カップ戦も含めて初めての途中交代だった。その交代が90分というのもすごい。バイス監督からの堂安への信頼を感じる。
交代直後のベンチ前では、こんなやり取りがあったという。「監督から『2点目をとれよ』と言われました。そこは自分の力不足なので、練習します」。堂安は現状に満足することなく、さらなる成長を目指していく。
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