選手にSNS活用術をレクチャーする 「IT活用でJクラブは変わる」第4回

えとみほ(江藤美帆)

講習後、選手の投稿に起こった変化

 さて、この講習を行ってから選手の投稿にはどんな変化が現れたでしょうか? いくつかの実例をご紹介したいと思います。

西谷優希選手のインスタグラム 【提供:江藤美帆】

◆インスタグラムのアカウントを新規開設
 双子のJリーガー「西谷ツインズ」の兄、西谷優希選手がインスタグラムを新規開設。前の所属がドイツのチームだったこともあり、いきなりドイツ語の投稿で、ファン・サポーターを驚かせました。

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菅和範選手のインスタグラム 【提供:江藤美帆】

◆他競技の選手やチームをタグ付け投稿
 栃木県内のアスリート界隈に顔の広い菅和範選手は、プロサイクルロードレースチーム「宇都宮ブリッツェン」の選手と撮った写真をタグ付けして公開。相互にタグ付けすることで、他競技のファンの認知を獲得できるというメリットがあります。

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西谷和希選手のインスタグラム 【提供:江藤美帆】

◆ファン・サポーターとの交流に活用
 双子のJリーガーの弟、西谷和希選手は、ちびっこファンからもらった色紙に感謝の言葉を添えて投稿。プレゼントをした子どもたちのお母さんから「インスタにアップしてもらえるなんて思ってなかったのでとても嬉しいです」という感激のコメントがつきました。

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川田拳登選手のインスタグラム 【提供:江藤美帆】

◆地元のお店を位置情報付きで紹介
 選手同士がランチで訪れた地元のお店を、位置情報つきで紹介。「栃木SCの選手なのですが、写真SNSにあげてもいいですか?」と一言声をかければ、さらに地元の方々とのエンゲージメントが高まって来場促進にもつながり100点満点です。

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 このように、選手たちは既存のファン・サポーターだけでなく、サッカーにはあまり興味のない地元の方々との交流にもSNSを使い始めました。地道な活動ではありますが、こうやって地域に愛されるクラブになっていければ良いなと思っています。

選手たちの意外な悩み「自分の写真がない」

 ところで、ここからはちょっと余談になりますが、選手のSNS活用を進める中で彼らが意外な悩みを抱えていることを知りました。それは、自分の試合中の(プレー中の)写真を案外持っていない、ということです。確かに、言われてみれば、彼らは自分の写真を撮ることができませんし、スポーツ写真ともなると家族がスマホやデジカメでさっと撮れるようなものでもありません。

 一方、クラブはクラブで、プロのカメラマンさんに依頼をして大量の写真を撮影していますが、それらの写真はほとんど使われることがありません。1,000枚近く撮影しても、公式に使われるのは多くて20〜30枚程度です。

 そこで私は、ひらめきました。この「ボツ写真」を選手に共有すればいいのでは? と。

 思い立ったが吉日ということで、さっそく9月30日の東京ヴェルディ戦から撮影された写真のデータを全部Google Drive(クラウドストレージサービス)に入れて、トップチームのグループLINEでリンクを共有することにしました。

【提供:江藤美帆】

 写真はあえて選別はせず、1試合あたり800〜1000枚近い写真の中から選手に好きな写真を選んでダウンロードしてもらうようにしています。

【提供:江藤美帆】

 選手たちの間では好評で、SNS投稿に使ったり、記念に保存したりしているという話を聞きました。SNSアカウントはあくまで選手個人のものなので、好きに使ってもらってもちろん構わないのですが、少しでも彼らが子どもたちにとって憧れの存在や地元の人たちに愛される存在になれるよう、私たち裏方も後方から支援をしていきたいと考えています。

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著者プロフィール

Jリーグ・栃木SC、マーケティング戦略部長。外資IT企業、大手ネット系広告代理店勤務などを経て、スマホで写真が売れちゃうアプリ「Snapmart」を開発、ピクスタ100%出資子会社のスナップマート株式会社の代表取締役に就任。2018年3月に代表を退任し、5月より現職

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