西武・秋山翔吾 ロングインタビュー
短期決戦は「勝ちゃいいんです!」

1・2番コンビを組む源田をどう見る?

秋山は源田(写真右から1人目)を「賢い選手」と称する
秋山は源田(写真右から1人目)を「賢い選手」と称する【写真は共同】

――ここからは秋山選手から見たチームメート、特に同じ野手陣について聞いていきます。まず、1・2番コンビを組む源田壮亮選手はどう見ていますか。


 賢い選手なのでね、とにかく。言わなくても感じ取ってくれるところもあるんですけど、一方で本人がチャンスのケースで併殺打を打ってしまうこともある。ランナーを進めようとした時、器用な選手ゆえにそれだけにこだわってしまうというか。


――なるほど。その点でアドバイスを送ったこともありましたか。


 ヒットを打てるコースもあるんだけど、チームのために打席に立っていると感じる場面もありました。そういう時は「このケースでは、こうしてもいいんじゃない?」とは話したことがあります。同じ左打者として、多少足の質は違いますけど、ホームランをたくさん打つタイプではない部分では僕と源田は近い。バントが少ない分、監督は源田を信用しているし、それが実行できるからこその信用だと思いますよ。守備は言うことないし、走塁のことは勉強することばかりですけど(苦笑)


――キャプテンを務めた浅村栄斗選手とは、今のような感じでコミュニケーションを取っていましたか。


 浅村のほうが少ないです。まずタイプが違うからね。


――外から見ても、それは感じます。


 でも彼が思っているチームに向けて最善のことを考えているのはあるし、僕もぶつかることはそんなにないですけど。


――そうですか。


「これはこうじゃないですか、これはこうじゃないですか」ってぶつけ合う感じじゃなくて、お互いできないことを補い合ってる感じがしますね。僕もしゃべらずに、というのはなかなかできないので。


――頻繁にコミュニケーションを取っていくのが秋山選手なんですね。


 浅村もそんなしゃべってないことはないですけど、そんなに口がうまい方じゃないんでね。僕はただおしゃべりなのがありますけど(笑)、あいつの場合はたまにヘッドスライディングをしたり、勝負どころでの一本を打つ。それだけキャプテンの肩書抜きにしても、影響力のある選手なので。


 彼にしかできないリーダーシップ、見せ方というのはあると思っていて。僕は逆にできないという。黙っている人が怒ると怖いじゃないですか?


――怖いですね……。


 だからそういうのも別に怒っているわけじゃないですけど、ボソッと言ったことで響いてる人間もいるんだろうなと思いますね。

山川は「僕以上に練習している」

――次は4番に座る山川穂高選手のことを聞きたいです。


 それ、監督がやるやつでしょ(笑)。


――すみません(笑)。山川選手のことを秋山選手がどう見てるかを選手の目線から知りたくて。お願いします。


 山川はね……チームの中にガツガツした野心のあるやつが何人もいるんですが、その中で三本の中に入りますね。


――野心家という意味でしょうか。


 野心家というよりは、「俺はこうやる」という軸を持っていて、それに対して目標を設定して練習するという意味です。僕も器用なタイプじゃないので(練習を)やらないとできないですが、彼の場合はもっと器用なんだけど、ぶれない力っていうか、そういうのはすごくあるなと。練習もすごくしますし。試合が終わったあともやっているし、試合が始まる前もやっている。


 その点でいうとやっぱり、結果が出ていることがうれしい選手ですね。他の選手と比べても特にです。練習をするしないは個人個人のやり方でいいんですよ、結果が出れば。でもやっぱり、量をこなさないとできない選手、そういう選手が認められてほしい。


 あの練習量と野球への情熱や取り組みが、今年のホームラン王だったり、4番としてのあれだけの成績に結びついているのがとてもうれしいですね。ああいう選手を見習う若い選手がたくさん出てきてほしい。まずは質もそうですけど、量。野球に対して取り組む時間を僕はかけてほしいと思うので。その代表が今年の山川だと感じています。


――秋山選手も練習熱心な選手と聞いていますが、山川選手はそれ以上ですか。


 ええ、しているんじゃないですか。でも彼の中でもどれだけ結果を出しても不安があるんですよ。僕もそうですけど。来年打てなかったらどうしよう、近いところで言えば明日打てなかったらとか。それで何かの拍子にこう、レギュラーポジションを取られる不安を持つ選手なので。ダメならダメでいいやと思えない選手なんですよ、多分。


 ダメでも納得できないといけないし、ダメならダメの理由をつくる。ダメなりの納得できる理由の積み重ねで野球をやっているので。だから、言い訳しないですよね。


――森友哉選手はいかがですか。


 森もね、去年のウインターリーグに行く判断をしたときから「来年やるかもな」って思いましたね。


――その時点で、ですか。


 バッティングではその前から結果を出していたんですよ。でもキャッチャーとしては全然試合に出ていなかった。シーズンが終わって12月は練習をしながらですが、地元に帰ったらチヤホヤしてくれる人もいるわけですよ。そういうところに行くと心地いいけれど、その期間を捨てた。


――野球に打ち込もうと。


 断ろうと思えばその前の試合の出方からすれば別に休んでもいい期間だったんですよね。それをしかも異国の地でコミュニケーションもなかなか取りづらい中で、彼も人見知りなので。


 なので、すごい勇気を持って2018年はキャッチャーとしてやると。悔しさもあっただろうし、「絶対やってやる」という中で自分の短所というか不得意なところ、技術的な部分は僕は分からないですが、人と話すとか何かを言うことに関しては臆病なところがあって。自分に自信がないわけじゃなくて、言葉にするのが得意じゃなかったりという印象を受けていたので。


 山川にくっついて一緒に練習やってるんですよ、自主トレを。あの2人はお互い尊重しながらいいものはいい、悪いものは悪いとはっきりと言える人間なので。よくあいつらとはご飯に行くんですが、あいつらはずっと野球の話をしています。森もキャッチャーでしんどい中、野球が大好きなやつだなと思うし。5番とかを打ってあれだけの打点を挙げているし、勝負強さもある。満塁ホームランも打てばサヨナラ打も打てる。そんな能力を持つ選手、なかなかいないですから。

8月はベテラン陣が引っ張ってくれた

――栗山巧、中村剛也選手の両ベテラン、今季限りで引退する松井稼頭央選手についてはいかがでしょうか。


 栗山さんや中村さんは、ずっと「この選手を見て練習をやりなさい、取り組みなさい」と言われてきて、いまだに背中をずっと見ている人です。ここ一番での打席に対する目つきだったり、それに対する練習の取り組みというのはずっと変わってない。それは稼頭央さんもそうですね。


 だから、うちのチームでけがでの離脱はあまりなかったじゃないですか。まずは稼頭央さんがキャンプで、あの年齢であれだけの成績を残した人が「これだけボールを追いかけるのか」とか「トレーニングして、振るのか」というのがいろいろな選手に伝わったと思うんですよ。みんな痛いところもあるでしょうけど、それでもチームをさまざまな不安から守ってくれてたんですよ。


 8月、みんなちょっと成績とか疲れがあった時にすごく打ってたじゃないですか。若い選手はペース配分も何もないので、勝負どころとかではなく、基本どの試合も全力なんですよ。そういう意味では前半そのまま勢いでバーッときて、ゲーム差が詰まって優勝争いになってきた時に、ドシッと「普段通りやれば大丈夫」という空気とか結果を出してくれていたのが栗山さんと中村さんでした。それを見て「じゃあ俺らも普通にやれたらいいな」となったので、すごく支えてもらったというか、引っ張ってもらいました。

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