「世界の合田」が凱旋門賞を徹底解剖 新装パリロンシャンで浮上する馬は?

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新設された「オープン・ストレッチ」の存在には賛否両論の声

海外競馬の第一人者、合田直弘氏。世界競馬の情勢を冷静に分析するその確かな見識において、右に出る者はいない 【netkeiba.com】

 凱旋門賞が、3年ぶりにパリに帰ってくる。

 16年と17年の丸々2シーズンにわたって閉鎖し、スタンドの建て替えを行なったパリロンシャンは、今年4月に新装オープン。開幕直後の春開催では、3〜4コーナーの外回りコースの路面が荒れていると、一部の騎手たちからクレームがついたが、秋開催を迎えてそうした声も聞こえなくなっており、安全にして公正な競馬が運営されている。

 コースに施された唯一の改変が、スタンド前の直線に設置された「オープン・ストレッチ」だ。最終コーナーを抜けてまもなく、ゴールまで残り450mの地点から、コースの幅員が内側に6mほど広がるレイアウトとなったのである。馬群の内側に閉じ込められて最終コーナーを廻った馬が、これまでだと馬群を割るか、外に持ち出して抜け出すしかなかったのが、改変によって、馬群の内側に進路をとることが可能になったのだ。有力馬が「脚を余して」負ける可能性が減り、つまりは、能力の高い馬が勝つ確率が増すというのが「オープン・ストレッチ」のコンセプトなのだが、関係者の反応はさまざまだ。

 馬群のどの位置にいても公平なチャンスがあり、なおかつ、勝負どころでの無理な進路取りが減ったために、審議も減ることになったという、メリットを称賛する声も、もちろんある。その一方で、集団のどの位置につけて、どのタイミングでどこを狙って抜け出すのか、騎手たちの駆け引きを見るのが競馬の醍醐味のひとつと捉えていたファンは、「オープン・ストレッチ」の設置によって、その楽しみを奪われたと感じている。

 そして、当事者である騎手のなかにも、「戦略を組みたてる」という、自分たちの仕事のなかの大切な一要素が蔑ろにされたと、憤っている者が少なくないのである。なお、「オープン・ストレッチ」はすべての開催日で設置されるわけではなく、馬場が悪くなった場合は設置されない場合もある。ちなみに、今年の凱旋門賞ではすでに設置されないことが主催者により発表されている。

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