ディフェンスで“沸かせる”チームに HCに聞く、○○はうちがNo.1 横浜編

『hangtime』編集部

2季連続で残留PO出場も、観客数は右肩上がり

大型PGとして期待がかかるハンター・コート。2季連続で残留PO出場も、観客数は右肩上がりだ 【(C)B.LEAGUE】

 横浜ビー・コルセアーズは2シーズン続けて残留プレーオフに回ったものの、がけっぷちで勝負強さを発揮し、B2降格は免れてきた。ブースターはヒヤヒヤの連続だが、それでも“いつかきっと”を信じ、熱い声援を送り続ける。その証拠に観客動員数は右肩上がりで、昨シーズンはリーグ5番目の多さだった。

「まだ強くないのに、これほどチームに忠誠心を示してくださることに驚きを隠せません」

 そう語るのは、今シーズンから指揮を執る新ヘッドコーチ(HC)のトーマス・ウィスマン。栃木ブレックスをB1初代王者に、JBL時代にはリンク栃木を初優勝(2009−10)に導いた名将だ。

「いつも応援してくださる皆様に、誇りに思っていただけるものをお届けしたい」──この言葉に、いやが上にも期待が高まる。ロースターも7人が新加入と大幅に代わった。その狙いは何なのだろうか。

「課題のひとつは平均年齢の高さ。それを下げる意味で、若くて有能な選手を加えました。彼らをどれだけ育成できるかというのが、チームの成長、勝てるチームになるための重要な要素です。早く優勝を実現するためには、近道だとは言えません。それでも、長い目で見ながら若い選手を育成し、一流の選手たちと渡り合えるようにして優勝を狙いたい。そう思っています」

中村とハンター・コート、大型PGコンビは期待大

 中でも特に目をかけているのが、先のアジア競技大会で日本代表の一員としてプレーした中村太地と、日本国籍を持つハンター・コートの大型ポイントガードコンビだ。

「彼らの持つ可能性はとても大きいと感じています。日本代表のフリオ・ラマスHCも高く評価しています。PGとしては大きい、その体格が(日本代表にとっても)プラスになっていくでしょう。われわれにはチームとして、彼らを育てる責任があると考えていますし、それがチームの成長にもつながります」

 再びBリーグで指揮を執ることになったウィスマンHCにとって心強いのは、共に優勝を経験し、目指すべきバスケットスタイルをよく理解する竹田謙、川村卓也という2人の選手がいることだ。「優勝するためには何が必要かを知る選手」と評し、若手が増えたチームにあって、実績と経験に裏付けられたリーダーシップを期待している。

 では、やはり栃木の時のようなバスケットスタイルを目指すのだろうか?

「日本人の特長として、素早さや俊敏な動きがあります。それを生かしたいと考えていますが、そのためにはフルコートでアタックすること。特に、ディフェンスからフルコートでアタックし、オフェンスに持ち込むスタイルを目指します。栃木を成功に導きましたが、それを横浜にも持ち込みたいと思っています」

“いつかきっと”が実現する日は案外早い!?

 昨シーズンに比べて平均年齢が下がった分、チームのケミストリーや経験値も下がったと言わざるを得ない。外国籍選手も入れ替わり、連係の部分では不安材料もある……と言いたいところだが、その中の1人、エドワード・モリスが帰化選手として登録されるのだ。

 オンザコートルールの変更もあり、それは大きなインパクトをもたらすことになる。「外国籍選手のローテーションがやりやすくなります。若手のビッグマン、小原(翼)選手の育成も手掛けていますが、彼が成長すれば、外国籍選手のローテーションがさらにやりやすくなり、チームにとって大きなプラスになるでしょう」(ウィスマンHC)

 新たなステージに向かう横浜は、名将と新鮮な戦力を得た。熱いブースターの声援は、今シーズンも変わらない。“いつかきっと”は、案外早く実現するかもしれない。

 最後に、横浜がリーグ「ナンバーワン」だと誇れるところを聞いてみた。

「ナンバーワンのディフェンスチームであること。それを目標にしています。ディフェンスは、私自身が過去に優勝した時は、とても重要なファクターでした。そういう意味でも、今現在、リーグでナンバーワンかどうかは分かりませんが、そういう評価を受けられるチームになりたいと思っています」

 今まではオフェンスで魅せるチームという印象だったが、今シーズンの横浜はディフェンスで“沸かせるチーム”になりそうだ。

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著者プロフィール

B.LEAGUEを中心に、AKATSUKI FIVE(日本代表)やストリートボールまで、日本のバスケットボールの魅力を、わかりやすい記事とデザイン性の高い誌面でお届けする、新しいバスケットボール専門誌。Issueごとに独自の視点で特集を組み、興味深い企画で構成。

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