バトンがスーパーGTで本領発揮 初Vで近づくチャンピオンの座

吉田知弘

第6戦SUGOでスーパーGT初勝利を飾ったバトン 【写真:吉田成信】

 2018年のスーパーGTシリーズに参戦している元F1王者のジェンソン・バトンが、9月16日にスポーツランドSUGOで行われた第6戦でついに初優勝を飾った。

 これまで17シーズンにわたってF1で活躍し、09年にはワールドチャンピオンに輝いたバトン。F1引退を決断し、次に選んだ活躍の場が日本のスーパーGTだった。18年からは以前から付き合いのあったホンダと契約し、No.100 RAYBRIG NSX−GTで山本尚貴と組んで参戦している。

 開幕前のテストから多くのメディアが取材に集まり注目度も上がっていたが、岡山国際サーキットで行われた開幕戦では2位表彰台を獲得。第3戦の鈴鹿でも彼自身F1で走り込んでいるコースということもあり、積極的な走りを見せて2位で表彰台に立った。

シーズン序盤は手探り状態

 さすが元F1チャンピオンという走りを見せ、ルーキーイヤーながらスーパーGTで目を見張るような活躍を続けている。しかし細かい部分を見ると、まだ手探り状態でシーズンを戦ってきた。

 彼にとっては屋根が付いたマシンでシリーズ戦を戦うのは初めて。さらにスーパーGTでは異なるクラスの車両が混走しながらレースが進んでいくため、バトンが参戦しているGT500クラスはGT300クラスの車両を追い抜きながら、自分たちのレースをしなければならない。そこで手間取ってしまうと、一気にペースが落ちてしまう。結果的にレースペースが上がらず、上位に食い込めないというレースも経験した。

 また第5戦富士500マイルレースでは、黄旗区間での追い越しで10秒のストップ&ゴーペナルティを受けてしまった。これも、フォーミュラカーとは異なり視界が制限されるGTマシンでのレースやGT300車両の処理に気が取られてしまった結果だろう。バトンも改めてスーパーGTの難しさと奥深さを痛感している様子だった。

 ただ、バトンのすごいところは、一度体験したことを次回までに吸収し、ミスが起きないように対応するところ。昨年スポット参戦した鈴鹿1000キロでもペナルティなどはあったが、同じミスを繰り返すことがないのだ。

 その吸収力と柔軟力が存分に発揮されたのが第6戦SUGOだった。

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著者プロフィール

1984年生まれ。幼少の頃から父の影響でF1に興味を持ち、モータースポーツの魅力を1人でも多くの人に伝えるべく、大学卒業後から本格的に取材・執筆を開始。現在では国内のSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に年間20戦以上を現地で取材し、主にWebメディアにニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載。日本モータースポーツ記者会会員

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