ソフトバンク森唯斗、逆転Vへ闘志 「ゼロで帰る」新守護神の約束
チーム全体が『そこ』しか見てない
「誰にも負けない気持ちがなくなったら終わり」。常に危機感を持ってマウンドへ向かっている 【写真=湯浅芳昭】
――プロ5年目を迎えた今シーズン、開幕時の目標は何だったのでしょうか。
毎年、連続して登板を重ねてきたというのもありましたし、今年もしっかりと信頼されれば任される試合の数というのは自然についてくると思っていました。まずは信頼されようというふうに開幕に入りましたね。その目標は抑えを任されるようになっても変わらなかったです。チームにはいいピッチャーがいっぱいいますので。
――森投手の場合、着実に実績を積んできていますが。
いや、ふがいない投球をすれば、いつ代えられてもおかしくないですよ。だから、絶対に周りに負けないという強い気持ちで。“誰にも負けない”という気持ちがなくなったら、僕は終わりだと思います。
――今年は、加治屋蓮投手をはじめ森投手の同期(2014年入団)の選手が多く活躍しています。同期に対しても負けたくない?
同期が投げていることは自分にとってもうれしいことではありますが、絶対に負けたくないですね。もっといいピッチングをしなくてはいけないと思います。
――森投手と言えば、マウンドで雄たけびをあげるなど闘志むき出しの投球が印象的でしたが、今季はマウンド上で冷静さが垣間見えます。
見えますか! ありがとうございます! 時と場合にもよりますが、冷静でいなければならないと思っている自分がいます。
――半面、試合後はグラブをたたいて喜ぶなど感情を爆発させる姿もありますが。
絶対に負けられない試合だったりすると、勝てて良かったなという思いが勝手に出ちゃいますね。
――投球スタイルも、以前は真っすぐで押していっていましたが、ここ数年は変化球もバランス良く投じていますよね。
真っすぐだけだったら抑えられないことも分かってきましたし、やっぱり全球種を使わないと。相手は本当にいいバッターばっかりなんで。
森がマウンドに立つときはチームがリードをしている時。絶対に「ゼロで帰る」ことを誓う 【写真=湯浅芳昭】
持ち味はカットボールですね。打たれるのもカットボールだし、抑えるのもカットボールだと思っています。大事な場面で勝負するなら、カットボールになっちゃってますね。
――ルーキーイヤーのインタビューでも「自信を持っているのは、カットボール」と答えていました。
そこは変わらないですね。カットボールがあるからほかの球種も生きてくるし、ほかの球種があるからカットボールが生きてくる。今年はそのバランスがうまくハマってここまで来られています。
――夏場やシーズン終盤になってもパフォーマンスが落ちないことも森投手の魅力です。1年間、投げ続けられるのはどうしてでしょうか。
ケガしないのが一番。強く産んでくれて強く育ててくれた両親のおかげです。また、打たれても使っていただいた監督、コーチには本当に感謝していますし、言い出したら止まらんな(笑)。周りのサポートがなかったらここまで投げられていないと思いますし、そこはやっぱり自分じゃなくて周りの人に感謝したいです。また、1年間戦えるようにオフにしっかりトレーニングをして臨んでいます。あとは……僕、夏、好きですもん。夏場になったら体重が減ってしまう選手もいるじゃないですか。僕、逆なんですよ。増えちゃうんです。
――それは普段どおり、しっかり食べているから?
しっかり食べてしっかり寝ているからだと思います。そうしなければ特に夏場は戦えないです。どんどん太っちゃってるんですが(笑)、でもパフォーマンスがダメじゃないので。自分に合っているのかなと思います。体重が増えてパフォーマンスに影響するんだったら考えないといけないですが。僕は今のままで間違ってないと思っています。
――シーズンも終盤戦に入り、チームにとってこれから何が大切になってきますか。
一つになることが大事です。気持ちの問題。1人でも欠けていたら崩れていくと思います。今は、チーム全体が同じ方向を向いていると思いますよ。意識せずに、そこしか見ていない。
――ずばり『そこ』とは。
『逆転優勝!』ですね!
――森投手自身が大切にしていくことは何でしょう。
これからムダな試合は1試合もないですし、僕が出ていくということはチームが勝っている状況なので、そこで絶対、しっかりと自分のピッチングをして“ゼロ”で帰ってきたいなと思いますね。
(取材・構成=菅原梨恵)