ソフトバンク森唯斗、逆転Vへ闘志 「ゼロで帰る」新守護神の約束

週刊ベースボールONLINE

守護神を任されて4カ月余り。森は勝負の夏になってパフォーマンスをさらに上げている 【写真=湯浅芳昭】

 福岡ソフトバンクにとってデニス・サファテは絶対の存在だった。長期離脱の絶対的守護神に代わり大役を任されることになったのは、ルーキーイヤーから5年連続55試合以上登板を続けるタフネス右腕・森唯斗。プレッシャーを力に変え、今日もしっかりと試合を締める。

 チームが僅差のリードで迎える9回の大事な局面。「森唯斗」の名前がコールされるようになって4カ月余りが経った。新クローザーは、これまでとは違う自分の役割を、懸命に全うしようとしている。

9回は『上がった人にしか分からない』

――チームは8月を18勝6敗で終え、2位浮上。首位・埼玉西武の背中も見えてきました。

 今、チームの雰囲気はものすごくいいです。監督、コーチ、スタッフ、選手、皆が一つになっていけているのかなと、僕はやっていて思いますね。

――森投手自身も9月14日現在、11試合連続で無失点を続けています。

 自分の中でも体の調子はすごくいいですし、納得のいく投球ができていると感じています。

――四球は、14試合連続でありません。

 そうなんですか。毎日1試合ずつやっているだけなんで、そこまで気にしてなかったです。

――ご自身の投球を試合後に確認されたりしますか。

 打たれても抑えても必ず目は通します。次の登板への課題が明確になるので。例えば抑えられているここ数試合でも自分の中でのバランスがダメなときもあるので、そこはしっかり修正してやっています。ただ、どんな形であっても、僕は無失点で帰ってきたらいいと思っているんですよね。

――今季も中継ぎでスタートした中で、岩嵜翔投手、サファテ投手が相次いで故障離脱。彼らが抜けて、リリーフ陣に不安はありましたか。

 いや、周りが思っているように「ヤバイ、ヤバイ」というのはなかったかなと。今いるメンバーでやらなければいけないのはみんな分かっていましたし、逆に言えばチャンスですからね。そこはみんな気づいていたと思いますよ。逆に結束が強まりました。

――そんな状況で森投手は抑えを任されるようになりました。気持ちの面で変化はありましたか。

 抑えを任されたことで、もっとやらないといけないなというのはありました。初めて抑えとしてマウンドに上がったのが、デニス(サファテ)が下半身の違和感を訴え登板を回避した4月17日(ヤフオクドームでの東北楽天戦)。最初はプレッシャーがものすごくあって本当にガチガチで、すごく舞い上がっていた自分がいました。

――そのとき感じたプレッシャーは今もありますか。

 今は少し違いますね。やっていくうちに慣れっていうわけではないんですけど、なんて言うんだろうな。いい緊張感、いい刺激の中でできているなと思いますね。

――その変化はいつから?

 登板を重ねていくうちに、ですね。最初のころなんて……すごかったです。

――ルーキーイヤーから5年連続で55試合以上登板、多くのマウンドを経験していても、ですか。

 全然違いますね。9回は本当に『上がった人にしか分からないところ』だと感じましたし、本当にすごいんですよ! すごい!

――ファンの方にも分かるように、具体的に表現するとすれば。

 6、7、8回というのはまだ試合が続くじゃないですか。9回はここで終わらせないといけないというのがあって……。なんて表現したらいいんですかね。本当に上がった人にしか分からないと思いますよ。

――繰り返される言葉ですごさを感じます。初めて抑えて勝利を迎えた瞬間はどんな気持ちでしたか。

 すごくうれしかったですし、安心感もありました。その気持ちは今も変わらない。試合が終わってチームが勝つというのが一番うれしい。

――抑えをやるようになって、投球スタイルは変わりましたか。

 そこは変えずに、9回だから「ああしよう、こうしよう」といったことはありません。今までどおり、自分がやってきたことをしっかりやるだけです。

――違いは置かれている状況だけ?

 そうですね。“試合が続くか、試合を締めるか”だけで、投球自体も気持ちも変わらないです。

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