阪神・北條のメンタルを変えた一言 「前向きに考えるようになった」
失敗しても「前向きに」気持ちを切り替えることで復活した北條 【写真:BBM】
昨年「遊撃のレギュラーは北條」と誰もが思っていた。だが、開幕すると大不振。その要因はネガティブな気持ちだった。今季は開幕は2軍で迎える。このままプロ野球人生は終わるのか? そんなときに試合後のミーティングで、心の持ち様を変えるある言葉が、矢野燿大2軍監督からもたらされた。
「昨年はメンタル面、技術面ともまだまだだった」
その反省も踏まえ、今季はとにかくショートで試合に出ることが目標でした。ファームでやってきたことがつながっています。例えば、昨年まで、1軍では打席でインコースに投げられてしまうと、そのコースを意識し過ぎてしまっていました。だからアウトコースに投げられたときに反応ができない自分がいました。
それにインコースを投げられたら、次の球のときに体が開いていました。また、インコースを狙い過ぎるとそのほかのコースがまったく打てなくなっていました。今では、まずはインコースは相手バッテリーの見せ球と割り切って、外を中心に絞っています。インコースは状況を見て思い切り狙うことにしたのが良かったです。
それと今は、ミス(凡打)してもすぐに切り替えるようにしたことも大きかったですね。それまでは打席でミスしても、守備でエラーしてもめちゃくちゃ引きずっていましたから。それが今年は少しマシにはなったな、と思います。そう思えるようになったのは、ファームでの矢野(2軍)監督のある言葉がきっかけでした。
ファームで試合に出たときです。僕じゃなかったのですが、チームメートがミスをした後に、ベンチで声を出せないくらい落ち込んだんです。この試合後のミーティングで、矢野監督が「ミスなど起こったことは仕方がない。その次にどう行動するか。次を考えろ」と言われたんです。その言葉で目覚めたというか「気持ちを切り替えることも大事や」とあらためて思えましたし、なぜかすごくその言葉が僕の中に入ってきました。
そこからです。「次に次に」と思うようになっていったのは。その言葉ですか? 2軍の公式戦が開幕してすぐくらいのことでした。そこから試合の中で、気持ちも徐々に切り替えられるようになりました。
もちろんそれまでも、切り替えは早くしようと思っていましたが、なかなかできなかった。多分、気持ちが前向きではなかったんだと思います。矢野さんの言葉を聞いてからは前向きに物事を考えるようになりましたから。でももしかしたら、その切り替えはまだうまくはできていないかもしれません。だた、あれ以来常に「いいイメージを持つ」ことを心掛け、次は取り返そうという気持ちへと変わりました。
例えば、チャンスの打席に立ったときに、それまでは「ゲッツーになったらどうしよう」という考えが先に出ていたんです。それが「ここでタイムリーを打ったらヒーローやな」というふうに考えるようにしたんです。守備では「この打者なら、こっち方向に打ちそうだから、そのときは、飛び込んでファインプレーにしよう」という前向きな考え方になりました。