戦えることを証明したトロロッソ・ホンダ パワー差を車体性能で挽回した高速2連戦

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コーナーを優先したマシンセッティング

イタリアGPでのガスリーとアロンソのバトル 【Toro Rosso】

 むしろ、ドラッグが大きくなっている現行マシンだからこそ、ストレートではなくコーナーで稼ぎ、勝負すべきなのだ。全開率が格段に上がったシルバーストンでも、ダウンフォースの少ないマシンでいかにコーナーで我慢するかではなく、コーナーで稼げるマシンに仕上げた上でいかにダウンフォースとドラッグを削るかの勝負だった。

「ラップタイム寄与度からいえば、同じパッケージの中ではストレートを伸ばすのとコーナリングスピードを上げることのどっちの方がラップタイム的に得なのかと言えば、当然コーナーの方なんです。コーナーが速ければストレート立ち上がりのスピードも速くなりますから」(田辺テクニカルディレクター)

 パワーユニットの差はもちろんある。フェラーリはスペック3でさらに進化し、メルセデスAMGもスペック3はそれに近いピーク性能を有している。中団グループでハースとレーシングポイント・フォース・インディアがトップを争う好走を見せたことからも、それは明らかだ。

 しかし、彼らと同じパワーユニットを積むザウバーとウイリアムズはそれぞれ苦戦を強いられた。つまり、パワーユニットの性能よりもむしろ車体性能とその仕上がりがものを言うというわけだ。

 ホンダはアップデートが日本GP以降になる可能性が高く、しばらくは現状のままで戦わなければならない。しかしモンツァでパワーユニットのスペックCを投入してきたルノーといい、フェラーリやメルセデスAMGとのパワー差は小さくないとはいえ、車体性能でひっくり返すとまではいかなくともかなり挽回できる差であることがスパとモンツァで証明されたのも事実だ。

空力パッケージのアップデートに期待

 トロロッソ・ホンダは第9戦オーストリアGPに投入した新型フロントウイングが不発で、空力パッケージとしては「いくつか細かなアップデートは入っているとはいえ、マシンの基礎的な部分はシーズン序盤からほとんど変わっていない」(ガスリー)という状態だ。

「だからこそマシンパッケージのすべてを最大限に引き出すことが重要なんだ。ここ数戦ずっとポイント争いができているのは、まさにエンジニアもドライバーも含めてチームがマシンのすべてを引き出せていることの証なんだ」(ハートレー)

 シーズン前半戦にはそのセットアップ面でダウンフォースとドラッグ、最高速の妥協点を見出す作業に失敗し、何度も苦戦を強いられてきた。しかしシーズン後半戦に突入してからの高速連戦をトロロッソ・ホンダは非常にうまく戦った。

 次は第16戦ロシアGP、第17戦日本GPの連戦をターゲットに開発が進められている空力パッケージのアップデートに期待がかかる。

「次のアップデートに向けては、今までに投入して機能しなかったものがどうして機能しなかったのかをしっかりと理解する必要があるし、開発段階や風洞のコラレーションをきちんと取る必要がある。中団グループはすごく接戦で0.1秒や0.15秒が大きなポジションアップに繋がるし、できるだけ早くアップデートを投入したいね」(ガスリー)

 シーズン後半戦に向けて、まだ希望が失われていないことを証明することができたトロロッソ・ホンダの高速2連戦だった。

(テキスト:Mineoki Yoneya)

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