米国帰りのDeNA中後悠平がいま感じること 「現状にはもちろん満足していない」
今は自分が持っている力を出すだけ
ダイヤモンドバックスではMLB昇格を目標に奮闘。米国では右打者対策のためにツーシーム、チェンジアップの習得に励んだ 【Getty Images】
この成績がどこまでファンを満足させているのかはわからない。だが中後は3年前、ロッテで一度も1軍昇格できぬまま戦力外になった投手だったのだ。チーム事情に違いはあるとはいえ、まず1軍で投げていること自体、評価されてもいいのではないか。
「うまく入っていけたかと言えば自分でも『う〜ん』ですけどね(苦笑)。でもそこでしっかり対応していかないといけないので、ましてや違う球団ですしね。初めてのセ・リーグで初めての球団ですから戸惑うところもありましたし、チームメートも知らない子ばっかりだったし……。
でもその中でこのチームで良かったというのはすごくありますね。他のチームだったらこうやって(1軍に)上がれてないかもしれないし、このチーム、このチームメートだったからいろいろな面でやりやすさがあったと思います。
(投球自体は)良くはなってきていますけど、まだまだ自分はやれると思っています。ただ今は自分が持っている力を出すだけなんで、それを最大限にどれだけ出せるかが今シーズン終了までのカギになると思います。現状にはもちろん満足していないですし、さらに上を目指してやっていかないといけないという感じですかね」
米国でプレーした自信と家族への思い
左打者に対して圧倒的有利な独特の左サイドスローである一方、右打者からはボールの軌道が見やすいとされている。そこで中後は右打者のインサイドを攻めるスライダーとは別に、アウトサイドで勝負するツーシームやチェンジアップの習得に励んできた。
日米の公式球の違いもあり、まだ本人の感覚では米国で投げていたような変化が出せず、ツーシームに関しては本番で投げるのに躊躇(ちゅうちょ)してしまう状態だという。本人も認めているように、まだ現在の投球は本来のものとはいえないし、納得もできていない。
とはいえ、本来の投球ができるようになったからといって、今後目覚ましい投球を披露してくれるだろうというのは期待をかけすぎだ。彼が一度はNPBから見限られた投手であることには変わりはなく、これからも生き残りを懸け、厳しい戦いが続くことになるだろう。だがその一方で、中後が米国での2年半を無駄にせず、投手として成長してきたのは疑いようのない事実だ。
「(自分はロッテ時代より成長していると)そう思ってますし、思うようにしています。それを自信にしていかないと、自分の中に何も変わっていないと考えてしまう部分が出てきてしまうので……。
人がなかなか経験できないことを経験させてもらってきたので、そこは自信を持っていきたいです。それと今は家族も近くにいてくれるので、家族のためにもという思いをさらに強くしてやってます」
残りシーズンでマウンドに上がった中後の生き様をこの目で感じたい。