米国帰りのDeNA中後悠平がいま感じること 「現状にはもちろん満足していない」

菊地慶剛

今は自分が持っている力を出すだけ

ダイヤモンドバックスではMLB昇格を目標に奮闘。米国では右打者対策のためにツーシーム、チェンジアップの習得に励んだ 【Getty Images】

 中後は7月4日にDeNAと正式契約を結び、3年ぶりに日本球界復帰を果たした。すでに1軍にも昇格し、9月6日現在で8試合に登板。7回1/3を投げ1ホールド、防御率3.68を記録している。

 この成績がどこまでファンを満足させているのかはわからない。だが中後は3年前、ロッテで一度も1軍昇格できぬまま戦力外になった投手だったのだ。チーム事情に違いはあるとはいえ、まず1軍で投げていること自体、評価されてもいいのではないか。

「うまく入っていけたかと言えば自分でも『う〜ん』ですけどね(苦笑)。でもそこでしっかり対応していかないといけないので、ましてや違う球団ですしね。初めてのセ・リーグで初めての球団ですから戸惑うところもありましたし、チームメートも知らない子ばっかりだったし……。

 でもその中でこのチームで良かったというのはすごくありますね。他のチームだったらこうやって(1軍に)上がれてないかもしれないし、このチーム、このチームメートだったからいろいろな面でやりやすさがあったと思います。

(投球自体は)良くはなってきていますけど、まだまだ自分はやれると思っています。ただ今は自分が持っている力を出すだけなんで、それを最大限にどれだけ出せるかが今シーズン終了までのカギになると思います。現状にはもちろん満足していないですし、さらに上を目指してやっていかないといけないという感じですかね」

米国でプレーした自信と家族への思い

 中後が米国で取り組んできた課題の1つに、右打者対策がある。

 左打者に対して圧倒的有利な独特の左サイドスローである一方、右打者からはボールの軌道が見やすいとされている。そこで中後は右打者のインサイドを攻めるスライダーとは別に、アウトサイドで勝負するツーシームやチェンジアップの習得に励んできた。

 日米の公式球の違いもあり、まだ本人の感覚では米国で投げていたような変化が出せず、ツーシームに関しては本番で投げるのに躊躇(ちゅうちょ)してしまう状態だという。本人も認めているように、まだ現在の投球は本来のものとはいえないし、納得もできていない。

 とはいえ、本来の投球ができるようになったからといって、今後目覚ましい投球を披露してくれるだろうというのは期待をかけすぎだ。彼が一度はNPBから見限られた投手であることには変わりはなく、これからも生き残りを懸け、厳しい戦いが続くことになるだろう。だがその一方で、中後が米国での2年半を無駄にせず、投手として成長してきたのは疑いようのない事実だ。

「(自分はロッテ時代より成長していると)そう思ってますし、思うようにしています。それを自信にしていかないと、自分の中に何も変わっていないと考えてしまう部分が出てきてしまうので……。

 人がなかなか経験できないことを経験させてもらってきたので、そこは自信を持っていきたいです。それと今は家族も近くにいてくれるので、家族のためにもという思いをさらに強くしてやってます」

 残りシーズンでマウンドに上がった中後の生き様をこの目で感じたい。

2/2ページ

著者プロフィール

栃木県出身。某業界紙記者を経て1993年に米国へ移りフリーライター活動を開始。95年に野茂英雄氏がドジャース入りをしたことを契機に本格的にスポーツライターの道を歩む。これまでスポーツ紙や通信社の通信員を務め、MLBをはじめNFL、NBA、NHL、MLS、PGA、ウィンタースポーツ等様々な競技を取材する。フルマラソン完走3回の経験を持ち、時折アスリートの自主トレに参加しトレーニングに励む。モットーは「歌って走れるスポーツライター」。Twitter(http://twitter.com/joshkikuchi)も随時更新中。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント