リーガの勢力図は今季も変わらない!?  序盤から際立つ2強と他クラブの戦力差

ラ・リーガの未来を真剣に考えるべき時が来た

例年と変わらない上位2チームの顔ぶれ。開幕早々から、資金力の差を際立たせる結果が出ている 【Getty Images】

 バルセロナの現状も似たようなものだ。今夏はアルトゥール、アルトゥーロ・ビダル、クレメン・ラングレら有能な新戦力を補強したものの、彼らが定位置争いに食い込む余地はほとんどない。彼らがどれだけ出番を得られるかは、全てエルネスト・バルベルデ監督のローテーション策次第となる。いずれにせよ、チームは新戦力の加入を歓迎しているようだ。

 リオネル・メッシのプレーポジションはどこになるのか。アンドレス・イニエスタが抜けた中盤は、これまで通りプレーを構築することができるのか。ウスマン・デンベレは今季こそ期待に応えることができるのか。開幕前に指摘されていたこれらの疑問は、この数試合のうちに随分とはっきりしてきた。

 アトレティコ・マドリーでは新加入の2人、ロドリゴ・エルナンデスとトマ・レマルがUEFAスーパーカップの先発に名を連ねたが、その後はアンヘル・コレアやトーマス・パーティの活躍に押されて出番を失いつつある。ニコラ・カリニッチ、サンティアゴ・アリアスらは途中出場でデビューしたばかりだ。

 まだシーズンの序盤とはいえ、こうしたビッグクラブの現状は、今夏の移籍市場で加入直後からメンバー構成の変更を強いるほどのビッグネームが来なかったことを物語っている。一方で、上位2チームの顔ぶれは例年と変わらないだけでなく、開幕早々からその他のクラブとの資金力の差を際立たせる結果が出ている。

 それは恐らく、ラ・リーガの未来を真剣に考えるべき時が来たという警告なのだろう。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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