大谷らしさが見えなかった復帰登板 「出力が上がって」ボールに影響か
試合中に球速が落ちた理由は?
久々のマウンドで「思ったよりも緊張した」と口にした大谷。力みがピッチングに影響したか? 【Getty Images】
その球速の変化は明らかだった。
アストロズ戦の試合中の球速の変化 【出典『baseballsavant.mlb.com』】
何かあったのか?
ひょっとしたら長期離脱の原因となった靭帯を再び痛めたのか? との憶測さえあったが、ソーシア監督は意外なことを言った。
「腰に張りを感じたから」
大谷がそれを訴えたのは1回が終わってからだそうだが、2回が終わると、それは確かなものとなった。そこに追い打ちをかけたのが2回のプレー。実は、ボールを素手で捕りにいった大谷は右薬指の付け根を痛めていた。3回、その2つの要因が重なって、無意識のうちにブレーキが掛かったか。3回を投げきるまでは、と考えていた監督も、「ここで無理する必要はない」と頭を切り替えた。
では、なぜ、腰に張りが出たのか。大谷は「明らかに練習で投げる出力よりも高いですし、体にかかる負担ももちろん大きくなる」と話し、久々の登板が影響したことを否定しなかった。大谷いわく「勝手に出力が上がった」ことの副作用が、そうした形で現れたか。
指の負傷については、「当たった直後はそうでもなかった」――つまり、痛みを感じなかったそうだが、「3回に入って、当たった直後よりかは違和感があった」のだという。
だとしたらもう、3回の先頭打者を歩かせたところで、ベンチが動いても良かったのかも知れない。異変は、ネクストバッターズサークルにいたジョージ・スプリンガーが、「なにか故障でもあったのか?」と思うほどだったのである。
一夜明けて変わらぬ様子の大谷
3日、ソーシア監督は試合前の会見で、「腰も指も精密検査などを必要とするほどではない」と周囲の不安を一蹴したが、次の先発、次のスタメン出場までは明言しなかった。指名打者での出場については、「その日の状態を見て決める」と慎重に話し、先発の予定に関しては、「金曜(7日)にブルペンに入る」と調整スケジュールを発表したのみ。いきなり4日から、指名打者復帰というシナリオは考えづらくなった。
ただ、大谷はと言えば、一夜明けたこの日も普段とまったく変わない様子で、治療を受けているような形跡もなかった。
幸い、大事には至らなかった――。そう捉えて良さそうだが、大谷といえど、自分らしさを見失った88日ぶりの先発だったと言えるのかも知れない。