【ノア】丸藤20周年記念はKENTAに激勝 大会成功に「プロレスの力ってすごい」

高木裕美

杉浦と秋山の因縁対決は30分ドロー

因縁のある杉浦(左)と秋山の戦いは30分時間切れドローとなった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、ノアのGHCヘビー級王者・杉浦貴&GHCジュニアヘビー級王者・原田大輔が全日本プロレスの秋山準&青木篤志組と対戦。過去の因縁と現在の思惑がぶつかり合うも、30分時間切れと決着はつかなかった。

 かつてはノアの一員であった秋山と青木だが、12年末にノアを退団し、全日本に移籍。ノアマットでは、秋山と杉浦はGHC王座を争うライバル関係にあり、共に自衛隊出身の杉浦と青木は、階級を超えてタッグを組む間柄でもあった。

 8.26千葉で世界ジュニア王座を失い、マスクを脱いだ青木は、素顔で入場。杉浦はGHCヘビーのベルトを秋山の目の前に突きつけ、宣戦布告した。原田は同じジュニア戦士の青木ではなく、秋山を標的に定め、エルボーを連打。だが、秋山はパワーボム、ニードロップ、ツームストンで一蹴する。秋山は杉浦とエルボー合戦を展開し、杉浦が雪崩式ブレーンバスター、逆エビ固め。カットに入ろうとした青木を蹴り倒す。原田に対し、秋山のバックドロップ、青木のフロッグスプラッシュ、パイルドライバーが決まるも、カウント2。原田は青木に投げっぱなしジャーマン、ニーアッパーを繰り出すが、青木もノーザンライトスープレックスで反撃。

 すでに残り3分を切ったところで、杉浦が秋山にジャーマン、秋山が杉浦にエクスプロイダーを決めると、青木が原田にトペスイシーダ。秋山は杉浦にリストクラッチ式エクスプロイダーを決めるが、2で返され、逆に杉浦がボディーへの反則パンチからオリンピック予選スラム。だが、これも秋山がカウント2で返したところで、時間切れのゴングが打ち鳴らされた。

 試合後、原田が秋山の前に立ちはだかるが、杉浦がこれを押しのけ、にらみ合いに。だが、互いにアクションを起こすことなく無言で別れた。

 試合を終えた杉浦は、「目の前にいるヤツをたたき潰すだけ」と相手チームへの特別な感情は否定。久しぶりに戦った秋山に対しては、今後の再戦の可能性については触れなかったものの、「年老いるのはまだ早い。まだシングルができる。後輩に譲ってる場合じゃない」と同じ40代としてエールを送った。

 一方、秋山も「今日は真っ白な気持ちで上がった」と過去の因縁については触れず。今後、発展する可能性については、「原田が向かっていくのはオレじゃないでしょ。青木だったら何かあったかもしれないけど」と、空気が読めていない原田に苦言を呈した。

DDT勢が“らしく”20周年を戦いで祝福

ディーノは大暴走ついでに解説席の小橋さんの唇を奪おうとしたが、あえなく引き剥がされた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第7試合では、丸藤との「ハラシマルフジ」でKO−Dタッグ王座を巻いたHARASHIMA、試合中に丸藤の唇を奪った男色ディーノ、“大社長”高木三四郎のDDTプロレス勢が登場。拳王&小峠篤司&マイバッハ谷口組と対戦した。

「予備知識」のない観客の悲劇を未然に防ぐべく、試合前に味方冬樹リングアナウンサーが「注意事項」を念入りに伝えるも、やはりディーノは大暴走。なんと、大胆にも放送席に座る小橋建太さんの唇をも奪おうとするが、小橋は豪快なチョップでこれを阻止。部下のご乱心に、高木大社長は早くもリング上から土下座で謝罪する。

 一方、対戦相手の小峠はマントを装着し、ノリノリで登場するが、今宵のディーノの最大の標的は、プロレス業界的に「西の小峠、東の真霜」と名高い、小峠の「アレ」。拳王に全力で男色殺法を阻まれたディーノは、ついに念願の小峠の股間をキャッチするが、あまりの大きさに動揺。それでも男色ナイトメアで悪夢を見せると、谷口にはリップロック。谷口もマイバッハポーズで対抗する。拳王とHARASHIMAによる見ごたえのあるキック合戦や、高木のドラゴンリングインなども飛び出す中、ついに小峠がマントを装着してコーナーに上がるも、ディーノのリップロックで放心。すかさずディーノは対角コーナーで地獄門を開くと、高木、谷口がそのエジキに。HARASHIMAは小峠のマントスプラッシュをカウント2ではね返すと、小峠の身体を担ぎ上げて地獄門にジャストフィットさせた上で、山折りからの蒼魔刀でフィニッシュ。20周年のお祭りにふさわしい、にぎやかで笑いにあふれた戦いで丸藤を祝福した。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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