連載:ジャパンウイメンズテニス注目選手たち
全仏準優勝の二宮真琴が広島凱旋 「ダブルスを極める」と決めた2018年
勝てなかった少女時代…長所を褒めてくれた両親
ダブルスを「極める」ことを決めた二宮(右)。迷いを振り切り、WTAツアー、そして五輪へ向けて、ダブルス専門プレーヤーとして戦う。写真左は穂積絵莉、6月の全仏準優勝時に撮影 【写真:アフロ】
「小学生の頃は、広島県や中国地方大会でも勝てなくて。強いコが多かったので、負けまくっていました」
県大会などでも、優勝にはなかなか手が届かなかったという小学生時代。それでも彼女が夢に疑いを抱かなかったのは「負けても、自分の良いプレーをすれば褒めてくれた」という両親の声があったからだ。
「お母さんやお父さんには、『ここが良いから伸ばしなさい』とずっと言われていて。だから、勝てなくても大丈夫と思えたのかも」
目先の結果ではなく、長所を伸ばすことに主眼を置いてくれた両親。そのような環境の中で、子供の頃から常に小柄だった彼女が磨き抜いてきた武器の一つに、フォアハンドの強烈なリターンがある。
「リターンで攻めろというのは、コーチにもお母さんにもずっと言われていて。(相手の)セカンドサーブはチャンスボールだと教わってきました」
前に踏み込み、相手のサーブを全力で叩く。心身に染み付いた信念で研鑽(けんさん)し続けたその武器は、今年4月のフェドカップ(国別対抗戦)の対イギリス戦で、日本の勝利を決めるリターンエースを生み出しもした。
ダブルス専念という決意 背中を押した恩師の助言
その二宮が今年のジャパンウイメンズオープンで、家族や友人たちが見守るなか、久しぶりに地元の広島でプレーする。
12年前に、この町で立てた「プロになる」決意を貫き夢をつかみ取った手に、そこからさらに「極める」と覚悟した、ダブルスの世界最高峰の技を携えて――。