セ・パ新人王レースを読む DeNA東・オリ山本がリード、対抗馬は?

ベースボール・タイムズ
 ペナントレースも残り2カ月を切った。優勝争い、Aクラス争いが白熱する中で、今年も激しい新人王争いが展開されている。「人生に一度」しか受賞することができない特別なタイトル。候補が絞られてきたセ・パ両リーグのニューヒーローたちの動向は如何に。

対抗馬が負傷離脱し、セは東が大きくリード

4月12日の初勝利からコンスタントに勝ち星を重ねる東。ここまで7勝はチームトップだ 【写真は共同】

 セ・リーグでは、ルーキー左腕・東克樹(横浜DeNA)が新人王レースをリードしている。開幕ローテ入りから4月に2勝を挙げると、5月16日の阪神戦で9回3安打無失点の快投でプロ初完封。その後も切れ味鋭いストレートとチェンジアップのコンビネーションでリーグ3位となる奪三振率8.29をマークしながら試合を作り、5月、6月も月間2勝ずつを挙げ、7月20日の阪神戦で6回途中1失点の好投で7勝目。ここまで16試合に登板して7勝5敗、防御率2.82。勝ち星、防御率ともにチームトップを誇っている。

 7月に疲労考慮の“夏休み”と人差し指の皮がめくれて2度の登録抹消があったが、今後の登板を考えると、その休養がプラスに働くはず。週1ローテとしても残り7試合は先発登板が可能。その7試合で3勝を挙げることができれば、2ケタ勝利達成で「新人王当確」となるはずだ。

 そのライバルとなり得る存在として、大卒2年目で出場機会を大きく増やしていた吉川尚輝(巨人)がいたが、8月1日の試合で一塁にヘッドスライディングし負傷交代。18試合連続安打を記録しながらも診断は左手骨折で無念の離脱。シーズン終盤の復帰を目指しているが、現在の92試合出場、打率2割5分3厘、4本塁打、29打点、11盗塁の成績では、新人王として説得力に欠ける。

中継ぎ新人王誕生なら10年ぶり

 その代わりに東の対抗馬になるのが、奮闘を続けるリリーフ陣である。筆頭はドラフト1位ルーキーの鈴木博志(中日)。最速157キロの自慢の剛速球を武器に開幕から9試合連続無失点の滑り出しを見せると、交流戦では打ち込まれるシーンも目立ったが、その我慢の時を乗り越えて、7月からは抑え役に指名された中で信頼を取り戻した。ここまで50試合登板はリーグ最多タイ。4勝5敗12ホールド4セーブで防御率3.86の数字を、もう少し見栄え良くすることができれば票数は集まるだろう。

 その他、首位を快走するチームの中で、存在感を見せている高卒2年目のアドゥワ誠(広島)も注目。まだまだ線の細さが目に付くが、196センチの長身から伸びのあるストレートを投じ、ここまで中継ぎで37試合に登板して3勝1敗3ホールド、防御率3.21と奮闘を続けている。

 そして、大卒2年目の中尾輝、大卒4年目の風張蓮(ともに東京ヤクルト)の燕コンビも、シーズン40試合登板を達成済み。特に中尾は中継ぎながら多くの勝ち星を拾い、46試合で7勝3敗11ホールド、防御率3.38の好成績を残している。中継ぎ投手が新人王を受賞したのは、セ・リーグでは2008年に67試合に登板して11勝2敗23ホールド2セーブ、防御率2.32の成績で逆転でのリーグ優勝に大きく貢献した山口鉄也(巨人)の例があるが、果たしてどうか。中尾が「2ケタ勝利&防御率2点台」を達成すれば、一気に本命に躍り出るかも知れない。

1/2ページ

著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント