比江島慎「自信を得るために海外へ」 NBLブリスベン・ブレッツ 移籍会見
行かないと絶対に後悔すると思った
「私生活は相当の不安がある」と語ったが、悩んだ点はそこだけだと言う 【写真:バスケットLIVE】
――移籍する上で一番大きかった悩みは?
私生活は相当の不安があるので……。でも葛藤はそこだけです。行かないと絶対に後悔すると思っていて、その思いが上回った。不安は今もありますが、決まったので覚悟を決めていくしかありません。
――外国のクラブから他にオファー、アプローチはあった?
オーストラリアリーグに行きたいと思っていたので、オーストラリアのチームからしか来ていないです。オーストラリア代表とも対戦していたので、可能性があると思っていました。
――6月29日のオーストラリア戦に勝ったことで、「よしやるぞ」というイメージが湧いた?
ある程度、日本人の見方は変わってくれるのかなと思いますが、自分としてそこまで満足のいくプレーはできていません。
――Bリーグ発足、日本代表などの経験が今回の移籍に生きた部分はあるか?
それはもちろん大きいです。オーストラリアがアジアに入ってくれたおかげもあります。そこで世界のレベルを知ることができました。もっと実力を上げないといけないという思いが大きくなりました。
――今回は1年契約と聞いている。東京五輪が開催される2年先までのプランはあるのか?
とりあえず1年で考えています。そこからもし(19年の)W杯に出られれば(可能性は)広がるだろうと考えています。オーストラリアではなく、違う国でやるかもしれませんし、Bリーグでやることもあると思います。ただ具体的なプランは考えていません。
ラマスHCは海外挑戦に大賛成
8月6日です。5日に出発します。
――チームが目指すバスケについて、監督から何か聞いている?
1人の選手、米国人選手に頼るのではなく、全員で攻めるということは聞きました。オーストラリア代表を見ても、1人で攻める選手はいなくて、動いて動いてピック&ロールというような戦いなので、そこは変わらないと思います。
――オーストラリアで成功するイメージをどう持っているか?
元々自分の強みはフィジカルではなく、かわすことだと思います。ステップをもっと磨いていけば、いけるイメージはあります。
――日本代表のフリオ・ラマスHCとは移籍について話をした?
代表にも関わってくるので、ラマスさんにも相談しながら移籍を決めました。彼も海外に挑戦することについて大賛成で、背中を押してくれましたし、自分のことのように喜んでくれました。フィジカルの強さについては彼も心配していましたけれど、僕の実力があれば通用するし、「リスペクトし過ぎずにがんばれよ」と言ってくれました。
――栃木の田臥勇太選手には相談した?
田臥さんには行ってみたいということを伝えました。「自分が後悔をする前に、行きたいなら絶対行った方がいい」という簡単なアドバイスをもらいました。
――年俸はBリーグにいる方が高いと思うが?
試合数も少ないので、その分(Bリーグほど)もらえないというのはあります。この1年に関してはお金を気にせず、チャンスがあるので行こうかなと思います。
八村、渡邊らの海外挑戦に刺激を受けた
栃木のファンの皆さんに対しては、本当に申し訳ないと思っています。僕も栃木でプレーすることを楽しみにしていましたし、ファンの皆様も期待してくれていたと思います。でも「海外に行けるチャンスがあれば行っていい」という内容で契約してくれましたし、自分が成長できる機会が目の前にあることを理解して下さっていると思います。栃木でプレーすることがあれば、成長した姿をお見せしたいと思っています。
――八村選手、渡邊雄太選手の海外挑戦を見て刺激を受けた?
下の世代が世界で活躍しているのを見て、刺激は受けています。あのポジション(センターなど主にインサイド)は世界で通用することを証明してくれていると思うのですが、自分たちのポジション(ガード)が行かないといけないとずっと思っていました。下の世代に刺激をされるというのはおかしいかもしれないですけれど、刺激をもらっています。
――海外に意識を向け始めたのはいつ頃か?
プロに入ってからずっとありましたが、本格的に考え出したのは24〜25歳くらいです。アジアでは通用する自信が得られたけれど、五輪最終予選でチェコやラトビアにコテンパンにやられて、「行かなきゃいけないな」と思っていたんですけれど……。なかなか勇気を出せず、ここまで来てしまいました。
――海外に出る「勇気」を持つようになったきっかけは?
プライベートになりますけれど、4月に母親が亡くなりました。母は背中を押してくれましたし、(生前は移籍の実現に向けて)背後で動いてくれていました。ポロっと「オーストラリアに行きたいな」と言って、いろいろと動いてくれていた。それは後押しになったし、「ここで行かなきゃいけないな」と思いました。